唐沢寿明&鈴木京香が仕事に対する信念を笑わせながらもていねいに表現した「ラヂオの時間」

物語が進むにつれて変化していく心の動きを自然に見せていく唐沢。コメディー作品だからといって決してオーバーに表現しないことで感情移入しやすく、いつの間にか彼中心の物語になっていく。番組を成立させるためにラジオ局の廊下を、いかにも業界人といったいでたちの工藤が全力疾走する姿は胸をアツくさせる。

そして工藤の心を動かした、鈴木京香演じるみやこも魅力的なキャラクター。初めて見る世界に最初こそ目が泳いでいたが、自分が書いた脚本が改変されるにつれて作家としてのプライドが表面化、物語のヒロインを守るために強固な態度を取っていく。

主婦としての自信のなさや緊張している演技はもちろんのこと、豊かな表情で芯の強さを表現しつつも笑いどころをたくさん作っていくのは、コメディエンヌとしても定評がある鈴木ならでは。三谷幸喜脚本のドラマ「王様のレストラン」(1995年、フジテレビ系)でも見せた、真面目なのに笑えるというキャラクターづくりは本作でも活かされており、みやこの仕事に対する真摯な姿と、ラジオドラマに関わっている業界人たちのなれ合いの姿の対比がより明確に伝わってくる。

誰の視点で見るかで話が変わってくる群像劇。仕事に対する信念を見事に表現している唐沢寿明と鈴木京香に注目して見るとまた違った楽しみが待っている。

文=玉置晴子

この記事の全ての画像を見る

放送情報【スカパー!】

ラヂオの時間
放送日時:9月8日(日)14:00~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物