田村正和が山口智子とフラメンコを踊る!古畑が情熱的な美人華道家と対決した、シリーズ最高視聴率記録の「古畑任三郎スペシャル しばしのお別れ」
- 俳優・女優
- 2024.10.29
山口が演じるのは、フラメンコを踊りながら生け花をする前衛的なフラワーアレンジメントスクールの学長・二葉鳳翠。鳳翠はかつて生け花二葉流の家元、二葉鳳水(長内美那子)の愛弟子で将来を嘱望されていたが、生け花への考え方の違いから独立。しかし、みずから経営する教室の生徒数は、鳳水側の妨害もあって伸び悩んでいた。大きなホールを借りて開いたスクールの発表会の日。鳳翠は会場に鳳水を招待し、睡眠薬を飲ませた上で毒物を注射し殺害する。しかし、そこには、生徒のひとりである今泉巡査(西村雅彦/現・西村まさ彦)のステージを見にきた警視庁捜査一課の古畑任三郎(田村正和)がいた。
古畑は、客席で眠るように息絶えている鳳水の状態を見て、他殺と確信。既に今泉を通して顔見知りだった鳳翠に、次々と質問を投げかける。元看護師で薬物や注射についての知識がある鳳翠だが、鳳水が死んだ瞬間は、今泉のパフォーマンスを見ていたというアリバイがあった。
このスペシャルドラマは、シリーズの中でも特に喜劇色が強い作品。おそらく山口の特技であるフラメンコを設定に活かそうという狙いで「踊りながら生け花をする」という設定になったと思われるが、そのパフォーマンスがシュールすぎて、笑えてしまう。お通夜の場で鳳翠が踊りながら献花するのを、古畑や今泉が真似する場面は爆笑ものだ。
しかし、山口が長い手足を活かして生き生きと踊るフラメンコは、情熱的で美しい。また、鳳翠がバーで古畑とお酒を飲みながら「口説いているの?」と挑発するシーンなど、「王様のレストラン」では見せなかった大人の女性らしい魅力を見せる。
古畑にトリックを見破られ、追い詰められていく鳳翠。そんな中でも、山口が「29歳のクリスマス」(1994年)、「王様のレストラン」、「ロングバケーション」と、この時代の代表作で見せてきた女性像は貫かれている。山口が演じるヒロインは、スーパーなキャリアウーマンでも女子力高めでもなく、時に手痛い失敗もするが、最後は毅然と前を向いて自分らしく生きる等身大の女性なのだ。同性の共感を呼び"連ドラの女王"として他にはいないヒロイン像を作り上げた山口の魅力を本作で再確認できる。
文=小田慶子
放送情報【スカパー!】
古畑任三郎スペシャル しばしのお別れ<デジタルリマスター版>
放送日時: 11月4日(月)11:05~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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