松本潤の演技による化学反応でキャラクターの魅力倍増！道枝駿佑も共演した「99.9-刑事専門弁護士-THE MOVIE」

もしも、深山のような人間が会社の中にいたら、周囲は何を考えているかさっぱりわからず、振り回されるに違いない。とにかく落ち着きがなく、年相応という概念が皆無だろうと思われる悪戯好き。本作にも事件に熱を入れて調べている所長・佐田の椅子に後ろからわざとキャリーカートをぶつけ「ずいぶんと張り切ってますね」と笑うシーンや、得意のオヤジギャグを嬉しそうに連発する場面が出てくるが、何ものにも囚われない自由さと柔軟さが魅力的な深山は、松本にしか演じられないだろう。

そんな深山を「師匠」と呼んで尊敬している河野は、好きな漫画のセリフでもある「ビシッ！」が口癖で、深山のダジャレまでメモをとるという、負けず劣らずの変人。そんな斑目法律事務所のわちゃわちゃした雰囲気の中、深山と河野のテンション高めのバディが活躍する。

■嫌がる村人たちを再現劇に参加させる深山

弁護士の南雲の娘・エリ(蒔田彩珠)が「ワイン毒殺事件をもう一度調べてほしい」と佐田に依頼したことがきっかけとなり、深山もやがてこの事件に没頭していく。

深山は当時の映像を見て、すでに死刑判決を受け、その後獄中死した被告人が祭りで唐揚げを二度揚げしていたことが気になり、被告人と昔からの知り合いだった南雲から自宅の鍵を借り、ガレージにあった車の幅を知りたがる。事件のことを思い出したくない村人たちは深山たちを追い帰そうとするが、その中で唯一、協力させてほしいと頼むのが道枝演じる守だ。事件を解明するために「天華一葡萄会」という台本のもと役者を集め、ワイン樽を用意し、4人が殺害された事件当日のことを、嫌がる村人を巻き込んで再現させる深山は強引かつ細かい。しかし、その緻密さが隠された事実を招き寄せていく。

そんなキャラクターを生き生きと演じる松本が謎解きをしていく後半は最大の見せ場で独壇場。深山のキャラクターと演じる松本の化学反応が心ゆくまで楽しめる作品でもある。

文＝山本弘子

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