富田靖子と松下洸平が追求する「母と息子のリアリティ」...3度目の共演となった名作舞台「母と暮せば」の裏話から透けてみえる、互いへの格別な信頼関係
- 俳優・女優
- 2024.11.30
松下「3度目に至っては、会場ごとの声のボリュームだけすり合わせた感じで、それ以外はほぼなかったと思います。というか、すり合わせなくても大丈夫になった。あと、僕の個人的な感覚で言うと、その日の自分の出来が今一つだったりすると、靖子さんが何となく察してくれているような気がするんです。...気のせいですか?」
富田「(即答で)気のせいです」
松下「気のせいでした(笑)。でもそういう"今日はいつものように乗り切れない"みたいな時、靖子さんが引っ張ってくれているような気が僕はしていたんです」
富田「確か初演の時だったと思うんですけど、私、栗山さんが仰っていたことがすごく記憶に残っていて。自分たちが"今日すごくいい"と思っても、そういう時に限ってお客さんはそうでもないってことが往々にしてあるから、自分たちの感覚だけに頼ってはダメだと」
松下「それ、僕も覚えています」
富田「だから逆に、松下くんが"イマイチだった"と思っていてもお客さんはすごくいいと感じているかもしれない。稽古の積み重ねや、初演・再演でやってきた時間全てが舞台にあるから、自分の感覚が正しいとは限らないというか...」
松下「そうかもしれないですね」
――最後に、「母と暮せば」(2024年版)の初放送を楽しみにしている視聴者にメッセージをいただけますか?
松下「映像でもしっかりお届けできるように一生懸命演じさせていただいたので、一人でも多くの方に観てもらいたいです。『母と暮せば』は続けていくべきだし、残していくべき作品。栗山さんも仰っていましたが、世界から戦争がなくなるその日まで、この演目を続けていくことがとても大切だと僕も思います。今回も映像という形でしっかり残していただけることが有難いですし、テレビの画面を通して、母と息子の絆の物語を感じて頂けると嬉しいです」
富田「未来のことは分からないですから、この2人で、次いつこの演目ができるかというのはお答えできないですし、だからこそ、今の私たちの『母と暮せば』をぜひ映像で見て頂きたい。次の世代にも観てもらえるように、一緒に繋げていってもらえたら有難いと思います」
取材・文=川倉由起子
放送情報【スカパー!】
こまつ座「母と暮せば」
2018年版
放送日時:2024年12月29日(日)14:30~
2021年版
放送日時:2024年12月29日(日)16:00~
2024年版
放送日時:2024年12月29日(日)17:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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