■過去作があることの難しさと良さ 織田裕二流「椿三十郎」
黒澤版の「椿三十郎」はとにかくインパクトが強い。映画好きなら尚更だろう。主演の三船敏郎のスター性や演出の血しぶき、殺陣の多さ...とにかく現代まで伝わる名画だ。その中でリメイク版の主演をはることは容易ではない。
では織田の椿三十郎はどうだったか。作品内では三船敏郎の芝居をみてそれを生かそうとしている姿も見受けられるが、織田流のワイルドさを感じることができる。それは敵方に捕まっている時の大胆不敵な笑みや終わり際の表情といった細かい部分で感じられるもので、表情があまりクローズアップされない殺陣では見られないため、鑑賞する際には会話劇の中の織田の表情に注目だ。
殺陣のシーンも見どころだろう。10数年ぶりの時代劇出演となった織田だが身体はよく動いているようにみえる。椿三十郎はとにかく強く、作中で圧倒的だ。特に30人を斬り倒す殺陣のシーンは最大の見せ場。私は殺陣や当時の時代の専門家ではないため、刀の扱い方や体捌きが理にかなったものなのかはわからない。ただ、織田が演じる椿三十郎としては豪快さや豪胆さを感じる思い切りのよい剣さばきのように感じられ、強い椿三十郎の中に織田らしさの色が出ている殺陣のように感じた。
今なお、前線で活躍する織田裕二。その芝居を堪能する作品として是非一度、「椿三十郎」を観てみてはいかがだろうか。
文=田中諒
放送情報【スカパー!】
椿三十郎(2007)
放送日時:2月6日(木)00:45~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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