
(C)2021「マイ・ダディ」製作委員会
あらすじからもわかる通り、このお話は複雑な家族の話だ。
ところで少し冷めた話をするようだが、この手の家族の話はごまんと映画界に存在する。ではどう差別化をはかるかというとストーリーは勿論、メインキャストの芝居にかかっているといえる。
そんな重圧の中、ムロがみせた芝居は素晴らしかった。一男は血のつながっていない娘が難病になり、かつ実の父親を探さなければならない1人ぼっちの牧師という、この上なく葛藤や悩みがつきないキャラクターだ。演じ切るには相当のエネルギーがいるだろう。ムロはそれをやってのけた。牧師として振る舞うシーンは少しコミカルに。また、父親として誰かに相対するシーンはシリアスに、子供に向き合うシーンは慈悲深く...様々な芝居の色をみせてくれたと思う。
その中であえていうなら目に注目してみてほしい。例えば、作品の中でムロはひかりの実の父親に相対するシーンがある。その時には目がすわっているような覚悟をもった瞳をしており、少し怖い印象も受けるが娘を守るというありありとした決意も見受けられ、視聴者の胸を打つ。しかし、一転してひかりと話している時はとても慈愛に満ちた優しい瞳をしている。このような対比の芝居は喜劇では中々ないものだ。それを喜劇が得意な俳優として名をはせたムロが堂々とやっている。観ている側も思わず固唾を飲んで観ずにはいられない。
これからもムロツヨシは様々な役柄をやっていくだろう。だが、どんなにキャリアを積んでも「初主演」は1つだけだ。そしてそれに恥じない作品である。是非、一度ご覧あれ。
文=田中諒
放送情報【スカパー!】
マイ・ダディ
放送日時:2月15日(土)15:45~
放送チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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