加えて、55歳以上の人だけを集めた劇団「トーラスシアター」の演出家・小巻沢梨子役を演じる小林聡美を筆頭に、突然リストラされた女性・太田千鹿子役に坂井真紀、昔の職場での出来事がトラウマになっている三橋芳子役の和久井映見...と、共演のキャストも豪華。

阿久津の過去の秘密を握る女性・節子を三浦透子が演じており、独特な雰囲気で作品にスリルと謎をもたらしているほか、不動産会社に勤める好青年・竹之内駿介を演じる中島裕翔は、過去に苦しみを抱えながらもある老人の孫のフリをし続けるという心優しき人物像を戸惑いの眼差しで体現しており、心の機微を捉えた繊細なたたずまいが光る。

過去という足かせに囚われ、複雑な感情を抱えながらも不器用にも前に進んでいく人々の群像劇が、一つの物語へと収束し、それぞれの人生の意味を浮かび上がらせていく「ゴールドサンセット」。大森の脚本と実力派俳優によるクオリティが確約されたヒューマンドラマでも、内野の演技が見る者に感動をもたらしてくれるはずだ。

文＝HOMINIS編集部