• いいね
  • コメント
  • ブックマーク

中村雅俊小川眞由美、昭和を代表する名優2人のコミカルな名演をご堪能あれ。映画「ねずみ小僧怪盗伝」

俳優

999 999 999

(C)1984松竹株式会社

深夜、金竜寺境内にある麦とろ屋の一室から次郎吉(中村)が動き始める。次郎吉は黒装束に身を包み、豪商の家を狙って金品を盗み出す"ねずみ小僧"だったが、実のところ夢遊病者で、姉・お駒(小川)が"ねずみ小僧"となって盗品を貧しい人々に配って歩いていた。町は"ねずみ小僧"のうわさでもちきりになる一方、品川沖に黒船が控え外国使節を迎えている手前、貧民対策に躍起となっている幕府は、遠山の金四郎(中条きよし)に"ねずみ小僧"退治をまかす。

この、"ねずみ小僧"が姉弟である点や、次郎吉が夢遊病者であること、金四郎の登場など、設定がエンターテインメント性を高めており、ドタバタコメディーの柱となっている。特に、次郎吉が夢遊病者であるため夜中の出来事の記憶がなく、ブタやニワトリのみならず、記憶喪失の女性を盗んでくるなど、夜ごと舞い込んでくるトラブルの数々に右往左往する姿は思わずクスリとさせられる。

(C)1984松竹株式会社

そんな中で、やはり作品の中軸を担っているのが小川と中村のコミカルな芝居だ。お駒の次郎吉を起こす際の荒さだったり、ちゃきちゃきとしたお駒とちょっととぼけた雰囲気の次郎吉という対照的なキャラクター、同時期に恋に落ちてしまった時の反応など、2人が織り成すコミカルな芝居がシリアスなシーンにも軽やかさを与えており、最後まで愉快な気分で観る者を引っ張っていく。

コミカルな芝居というのは実は難易度が高く、"役としては真剣に生きていながらも、観る者を笑わせなければならない"という、演じながらも俯瞰的な視点を持って芝居しなければならないのだが、2人の芝居には一挙手一投足に"おかしみ"がある。クライマックスに向けて発展していくドタバタ加減や怒涛の展開、合間に流れるコミカルな音楽なども、作品のエンターテインメント性に一役買っているが、やはり2人の芝居なくしてはこの作品の魅力は生まれなかっただろう。

互いに俳優として10年、20年とキャリアを重ねて脂が乗っている時期の作品でもあり、その実力が十二分に発揮された良作。ぜひ、昭和を代表する名優2人のコミカルな名演を堪能してほしい。

文=原田健

この記事の全ての画像を見る
  1. 1
  2. 2
  1. 1
  2. 2

放送情報【スカパー!】

ねずみ小僧怪盗伝
放送日時:4月2日(水)08:30~
放送チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくは
こちら

Person

関連人物

Comment

コメント