また、人気アイドルグループ・Snow Manとして歌番組やバラエティなどでキラキラとした輝きを放つ佐久間が、不気味なオーラをまとう"狂気のストーカー"吐夢を熱演。黒い服を身にまとい、目の表情は消え、口からこぼれる言葉も妙なものばかりで、出会いから不穏な雰囲気をたっぷりと振りまいてくれる。そこにアイドルとしての佐久間は、一切いない。

しかし"狂気のストーカー"であるはずなのに、どこか吐夢にチャーミングさを感じてしまうような瞬間もあり、これは佐久間が演じたからこそ表れたキャラクター性に他ならないだろう。

輪花と吐夢の出会いを皮切りに、家族や友人など輪花を取り巻く人物たちの"本当の顔"が次々に明かされていく。過去と秘密が絡み合い、怒涛のクライマックスへとなだれこむ中で浮かび上がるのは、激しい愛憎劇。これまでも人間の内面を鋭く抉り出してきた内田監督の手腕が冴え渡る。愛ゆえに壊れていく人々の行く末を、ぜひ見届けてほしい。

文＝成田おり枝