
「舟を編む」(2013年)が史上最年少の若さで第86回アカデミー賞外国語映画賞の日本代表作品に選出された石井裕也監督。その後も「夜空はいつでも最高密度の青色だ」(2017年)、「茜色に焼かれる」(2021年)、「月」(2023年)、「愛にイナズマ」(2023年)など、深い余韻を残す意欲作を手がけ、今や日本を代表する映画監督の一人となった。
そんな石井監督が、昨年公開された映画「本心」(2024年)では、盟友とも言える俳優・池松壮亮とタッグを組み、技術が発展し続けるデジタル化社会の功罪を活写した。6月8日(日)にWOWOWシネマで放送される本作は、「ある男」などで知られる人気作家・平野啓一郎の同名小説を、池松をはじめ、妻夫木聡、綾野剛ら豪華キャストの競演で映画化した異色のヒューマンドラマだ。

(C)2024 映画「本心」製作委員会
ある日、「大事な話がある」と母親(田中裕子)から電話を受けた朔也(池松)。台風で氾濫する川のそばに立つ母親の姿を目にし、彼女を助けようと川へ飛び込むが、重傷を負って1年間の昏睡状態に。彼が目を覚ますと、母親はすでにこの世を去っていた。彼女が"自由死"を選んだと聞かされた朔也は、亡くなった母の"本心"を知るため、最新の人工知能を応用して仮想空間上にVF(ヴァーチャル・フィギュア)というAIで蘇らせることを決意する...。
朔也が昏睡状態から目覚めると、もといた工場での職はロボットによって奪われ、仮想空間上で相手と会話することも当たり前となるなど、急速に時代が進化していた。池松は、戸惑いや恐怖など、世界に置き去りにされているという朔也の感覚を素晴らしく体現。「このままAIが進化したら、世界や人間はどうなってしまうのだろう...」と、きっと今を生きる誰もがそこはかとなく抱いている不安までを浮き彫りにしてみせる。
石井監督と池松は、本作で9度目のタッグ。公開時の舞台挨拶で池松は「最初に出会ったのは20代。長い時間を共にしてきた」と石井監督との関係性を振り返り、「出会ったころから今に至るまで、石井さんは自分にとってずっと偉大。映画監督として、飽くなき探究心と高いビジョンを持って、深い洞察力を持って、常に時代とにらめっこしながら人にはできない、類を見ない映画を生み出し続けてきている」と並々ならぬ信頼感を吐露していた。お互いに特別な存在であり続ける2人が、本作では何度も話し合いながら映画を完成させたという。
放送情報【スカパー!】
本心
放送日時:2025年6月8日(日)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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