斎藤が演じる秀一は、失敗ばかりで崖っぷちに立たされた貧乏探偵。くたびれたスーツを身にまとい、髭を生やした"しがない探偵"という風貌だ。しかし、そんな秀一にもどこか渋みや色気を感じさせるところが、さすが斎藤。直美に無理やりオーダースーツを着せられた時には、たちまち二枚目に風変りする。

気だるそうに直美のボディーガードをしていたかと思いきや、直美が危険にさらされた時には迷わず彼女を助ける。そんな秀一の姿に、当初はボディーガードを拒んでいた直美も心を許し始めるのだ。また、殺人容疑をかけられた元妻・幸子が秀一を訪ねてきた時も、幸子の自由な言動に嫌な顔をしながらも、なんだかんだ幸子が追手に捕まらないように手助けをする。そんな随所で垣間見せる秀一の困った人を放っておかない優しさは、「誘拐の日」で演じている新庄政宗にも通ずるところがあるように思う。

ヒロインの直美を演じた二階堂も魅力的だ。華やかで天真爛漫な直美の雰囲気がぴったりとハマっており、お嬢様らしく自由に振舞う直美のわがままな一面も可愛らしく演じている。自ら危険に飛び込むほどの好奇心旺盛な性格や、秀一に向ける淡い恋心など、直美のさまざまな顔を豊かな表情で映している。

探偵とお嬢様という、5日間だけの異色のバディ。共に事件を追う中で、直美は自由奔放なお嬢様から大人への成長を見せる。一方の秀一も、徐々に仕事への情熱を取り戻していく。そんな2人が辿りつく事件の結末はもちろん、直美の淡い恋の行方にも注目しながら楽しんでほしい作品だ。

文＝HOMINIS編集部