8月5日に開幕し現在上演中の舞台「WAR BRIDE --アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン--」。戦後激動の時代に真実の愛で困難に立ち向かった夫婦の姿を描く本作で、20歳で米軍の兵士と結婚して海を渡り、"戦争花嫁"と呼ばれた主人公・桂子を演じているのが奈緒だ。

奈緒といえば、ヒロインの親友役に抜擢された連続テレビ小説「半分、青い。」(2018年)や怪演を見せた「あなたの番です」シリーズなどで注目を浴びた実力派俳優の一人。近年もドラマ「春になったら」(2024年)に映画「傲慢と善良」(2024年)など、確かな演技力で強い印象を残している。

様々な作品で異なる顔を見せる奈緒が主演を務める最新ドラマが「塀の中の美容室」だ。8月22日(金)からＷＯＷＯＷプライムで放送スタートする本作は、一人の受刑者と社会を生きる女性たちの人生が交錯する"再生"の物語。「殺した夫が帰ってきました」などで知られる人気作家・桜井美奈の同名小説の連続ドラマ化だ。

舞台は、女子刑務所の中にある"受刑者が一般客の髪を切る"美容室。小松原葉留は担当の刑務官・菅生に連れられて今日も刑務所内に存在する美容室に向かう。彼女は、刑務所長・保坂が受刑者たちへのある想いを込めて作った"あおぞら美容室"唯一の美容師。様々な事情を抱えた一般の客たちの想いに寄り添うように、その言葉に耳を傾けながら髪を切っていく。人々との出会いを通じて、自ら犯した罪、これからの人生とどう向き合っていくのかを描き出す。

奈緒が演じた主人公・小松原葉留は、刑務所に収容されている受刑者かつ美容師。クランクイン前にはモデルとなった岐阜県の笠松刑務所を訪れてその世界を知り、カット技術などの練習も重ねて真摯に役作りに臨んだ。

ある事件で罪を犯し服役している葉留は、職業訓練で美容師免許が取得できることを知る。美容技官の加川らの指導のもと2年かけて学科と実技を学び、刑務所内で免許を取得。女子刑務所の"塀の中"にありながら"塀の外"の一般客を相手に営業する、あおぞら美容室の唯一の美容師となった。愛らしい柔和な面差しと物静かで優しい声音だが、葉留の抱える過去と罪は重い。

刑期も満了に近づく中、罪は刑期を終えれば償えるのか自問自答を続ける。演じる奈緒は、凛とした張り詰めたような雰囲気を纏いながら、葉留の心を繊細に表現。光を失った瞳や沈んだ表情からは背負うものの重さが伝わる。お客様に向き合う真剣な眼差しに、彼女たちの人生にそっと寄り添う姿に、葉留が歩いてきた道とその人となりをリアリティを持って想像させる。