
(C)2002「陽はまた昇る」製作委員会
物語の本題は、社内での会議シーンから始まる。新商品開発を上司に申請するための会議で、部屋には熱気が感じられ、加賀谷は部下たちに気合十分の声で「じゃあ行ってくるぞ」といって退出。しかし、専務や副社長に会った時に、意外な話が飛び出す。その時期、ビクターの業績は芳しくなく、加賀谷は事実上の左遷となるビクター横浜工業・ビデオ事業部への異動を命じられる。役職は事業部長、つまりは管理職で、技術屋の加賀谷にとっては開発から離れてしまうこともショックだっただろう。
会議での頼りがいのある姿から、震える声、縋るようなまなざしを専務らに向け、驚きと無念さに満ちた姿へ。その変化を説得力ある演技で見せるだけでなく、真摯な人間味が感じられるのは、西田の演技の"味"と言えるだろう。

(C)2002「陽はまた昇る」製作委員会
そして物語が進むほど、表情豊かで、人間味と熱を帯びた西田の演技は加速していく。副社長から「全部門20%の人員を削減しろ」と命じられた時には、声を震わせて家庭用VTRの開発を訴えたり、1人も辞めさせないことを念頭に家庭用VTRの開発を決め、反対する大久保に「無茶でもやるんだよ!」と声を荒げたりもする。
また、加賀谷の妻・圭子や息子たちとの触れ合いも、物語の随所に挿入される。新商品開発という自分と社員の夢、そして家族への愛を背負って前へと進む加賀谷の姿は、まさに時代を作った男の姿といえるだろう。
■加賀谷を支える事業部次長を静かで熱のある演技で体現した渡辺謙
放送情報【スカパー!】
陽はまた昇る
放送日時:2025年10月4日(土)20:00~、10月13日(月)11:30~ほか
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
詳しくは
こちら