西田敏行渡辺謙が夢のために闘う男を熱演!ビデオテープ世界標準規格のVHS開発秘話を描く映画「陽はまた昇る」

俳優

(C)2002「陽はまた昇る」製作委員会

渡辺が演じるビデオ事業部次長・大久保は、加賀谷が横浜工場に赴任した時に登場する。整えた髪に眼鏡をかけ、長身を深く曲げてお辞儀する様子から、実直なサラリーマンという印象を受ける。真面目で大人しい性格のようで、社員食堂で協力会社の社長に突き飛ばされるシーンでは、焦りながらも相手を鎮めようと丁寧に対応する。

管理職という立場上、部下と上司の板挟みになる状況も多い大久保。当初、事業部では本社からの命令でリストラを進めているが、退職希望者を加賀谷が引き留めようとした時は、慌てたような表情を見せる。また、加賀谷が頼んだ社内情報のファイルが意図したものと違い、やり直しを命じられた時には、困惑を隠せない顔つきになる。

(C)2002「陽はまた昇る」製作委員会

そんな大久保も、加賀谷の情熱に打たれ、次第に力を尽くすようになる。「家庭用VTRを開発する」と加賀谷に言われた時は取り乱して声を荒げるが、発破をかけられた後は、弾かれたように組織の再編を社員に伝える。事実を考慮しない事業計画を作れと言われた時には、自らそれを持って社長らに説明に向かい、文句を言われても真摯に対処する。静かに、だがしっかりと加賀谷を支える大久保の熱意には胸を打たれるし、大久保がいたからこそ、加賀谷の夢、事業部社員たちの夢が実現したのだ。それを強く印象付け、共感させる渡辺の演技もさすがと言えるだろう。

ラスト前、ある業界関係者がモノローグで、「何事も、人、ですなぁ」と語る場面がある。それが十二分に納得できる熱演で、加賀谷と大久保という人物を体現した西田と渡辺の力量には感服するほかない。

本作は第26回日本アカデミー賞の優秀作品賞を受賞し、西田は優秀主演男優賞、渡辺は優秀助演男優賞を受賞している。日本屈指の2人の名優が紡ぎ出す、昭和のサラリーマンたちの熱い戦いと心震わせるドラマを、本作でじっくり味わってほしい。

文=堀慎二郎

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放送情報【スカパー!】

陽はまた昇る
放送日時:2025年10月4日(土)20:00~、10月13日(月)11:30~ほか
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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