そして11月26日(水)、27日(木)に横浜アリーナで開催されるコンサートをもって、乃木坂46を卒業する久保の演技にも目を見張ること間違いなし。良城を傷つけてはいけないと彼を見守る愛情、その一方で好きな人に触れてもらえない悲しみを抱えた月菜。静かな佇まいから、久保が彼女の中に渦巻いている複雑な感情を見事に表現している。

こらえていた涙が溢れ出す場面では、どれほど月菜が苦しい気持ちを隠していたのかが分かり、心を揺さぶられるはず。また久保は過去の月菜と人生を見つめ直していく月菜の時の流れにおける変化も示しており、彼女の俳優としての実力や可能性を確信するような演技を目にできる。

良城と月菜の前に突如姿を表し、やがて月菜に真っ直ぐな思いを届けるようになるジェホンを演じたのは、2PMのチャンソン。10月には初のフルアルバム「DAWN」発売、11月に日本3都市でのソロコンサート「CHANSUNG(2PM) 2025 Japan Tour [DAWN～The First Step～]」を控え、2PMの中で"セクシー担当"として知られるチャンソンだが、本作では紳士的でありながらミステリアス、情熱的でありながらどこか寂しげという難しい役どころで、鮮やかな存在感を発揮している。

劇中で描かれる誰かを思う切実さに胸を打たれると共に、三山＆久保＆チャンソンというアーティストとしての顔を持つ彼らの俳優としての魅力、表現力を堪能できる作品としてもオススメしたい1作だ。

文＝成田おり枝