「相棒」のイメージとは真逆!若き水谷豊の衝撃的な演技と怒涛の展開に目が離せない 昭和の名作「赤い激流」

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宮島音楽大学学長・宮島貞之役の小沢も後半では鍵を握る存在で、ベテランらしい風格を漂わせる。その妻・あや役の赤木春恵は「金八先生」の校長役が有名。信一役の中島もシリーズの常連として安定感のある演技を披露する。さらに特別出演の岸恵子、神山繫、中山仁、名古屋章、新克利、初井言栄といった昭和の名優たちが勢ぞろいしているのもたまらない。真犯人は誰かという謎に加え「Rの女」の正体を追う展開もじつに秀逸な仕掛けだった。

そんな仕掛けの妙やストーリーの素晴らしさに加えて、本作の人気を高めたのは、何よりも若き水谷の力強い演技にある。文字通りに「暴れまわる」役どころだが、気に入らないことに対して猛反発する敏夫は危険な若者だ。

宇津井は、代表作の「ザ・ガードマン」をはじめ、正義の人を演じたら天下一品。宮島家の人々も名家の富裕層であり、上品さに溢れる。中島などはまさにはまり役だが、そんな人たちと対照的で、野性味あふれる敏夫の際立った造形を見事に演じた水谷は、やはり並の俳優ではない。当時の水谷は「傷だらけの天使」(日本テレビ系)や、映画「青春の殺人者」(1976年公開)で見せたように、どこか陰のある屈折したクセのある若者役が真骨頂だったのだ。

若き水谷のパワフルかつ繊細な演技と、重層的で波乱の展開を見せるストーリーにより、最終回まで目が離せない「赤い激流」。名作ぞろいの赤いシリーズの中でも、最高視聴率を記録した作品だけに、今見てもその魅力はまったく色褪せない。今の若い人は「相棒」の杉下右京役の印象が強いのだろうが、当時のエネルギッシュで瑞々しい演技は、今の若い俳優たちにはない魅力と言える。今回TBSチャンネル2でオンエアされるが、ぜひ水谷の衝撃的な演技に魅了されてほしい。

文=渡辺敏樹

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放送情報【スカパー!】

赤い激流
放送日時:【#19】2025年10月1日(水)4:00~ 10月4日(土)まで毎週(月)-(日)
放送チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
出演:宇津井健、水谷豊、石立鉄男、中島久之、久木田美弥、松尾嘉代、緒形拳、小沢栄太郎、赤木春恵、竹下景子、前田吟、馬淵晴子、堀内正美、山口百恵、岸恵子ほか
※放送スケジュールは変更になる場合があります。

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