市原隼人、『おいしい給食』で得た俳優としての糧 青森・岩手ロケで体感した"食を共有する価値"
俳優
――シリーズ開始から6年近く演じ続けている甘利田先生はどのように向き合ってこられましたか?
「どの作品よりも一番ハードな現場だと思っています。原作がない分、役者が自由に肉付けできる余白をいただいていて、それは信頼していただいている証でもあるのですが、その分寝られないんです。給食のシーンひとつとっても、どんな食べ方をして、どんなリアクションをするか脚本には書かれていない。だから現場で自分なりに動きを考え、時には酔拳のようなアドリブを加えてみたり、阿吽の呼吸で挑戦していく。その積み重ねがあって、ただ食べているだけなのに意識が飛んだりするほどハードなんです」
――実際に映像を見ていても大変な現場なんだろうなってことが伝わってきます
「給食のシーンは長回しで撮るのですが、何度も食べてリアクションを繰り返すんです。しかも給食以外の場面でも甘利田先生は走ったり感情を爆発させたりと、常にアクティブ。怪我も尽きませんし、満身創痍になりながら撮影を終える日々です。正直、楽しむ余裕は一切ありません。ですがそれは本気でコメディと向き合いたいからなんです。チャップリンの言葉にもあるように、近くで見れば悲劇でも、俯瞰で見ると喜劇になる。甘利田先生にとっては給食がこぼれることも、子どもに負けることも"この世の終わり"の悲劇。でも観客からすればそれは笑いになる。そんな滑稽な姿を見せながらも、好きなものを好きと胸を張って生きることの尊さを体現しているんだと思います。失敗や恥ずかしい思いをしても、それを糧にして人生を楽しめるかどうかは自分次第。そこに活力を感じていただけたら嬉しいです」
――長く愛される理由が分かりますし、やはり"食"という普遍的なテーマがあるからこそ、時代を超えて共感を呼ぶのだと思います
「そう思います。まず、2019年に始まってから約6年。このシリーズがここまで続くとは夢にも思っていませんでした。そんな夢を見させていただけたのは、作品を支えてくださるすべてのお客様のおかげだと思っています。だからこそ、まずはお客様に恩返しをしなければいけない。変化を求められる時代にあって、令和という時代はニーズや環境に合わせてどんどん変わっていかなければならないけれど、この『おいしい給食』における甘利田先生の良さは"変わらない"ことにもあると感じています。シーズン1からずっと、滑稽な姿を見せながら、笑われ、恥ずかしい思いをしながらも、給食に振り回され、人生に振り回され、それでも明日こそはと前を向いて生きようとする。その姿が甘利田の魅力であり、多くの方に人生を生きる活力として受け取っていただけたら嬉しいと思っています」
(C)2025「おいしい給食」製作委員会
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
公開情報
映画『おいしい給食 炎の修学旅行』
2025年10月24日(金)新宿ピカデリーほか全国公開中
出演:市原隼人 武田玲奈 田澤泰粋 栄信 田中佐季
片桐仁 いとうまい子 赤座美代子 六平直政 高畑淳子 小堺一機
監督:綾部真弥 製作総指揮:吉田尚剛
企画・脚本:永森裕二 プロデューサー:岩淵規
企画・配給:AMGエンタテインメント
(C)2025「おいしい給食」製作委員会
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