(C)1975 松竹株式会社
2018年5月に惜しまれつつもこの世を去った西城秀樹は、1972年に「恋する季節」でデビューし、芸能界のトップスターとして長年君臨した。1973年にシングル「ちぎれた愛」がオリコン1位を獲得し、日本レコード大賞歌唱賞を受賞、1974年には「激しい恋」が58万枚の大ヒット。主演映画「愛と誠」が公開され、NHK紅白歌合戦にも初出場を果たす。1975年はゴールデン・アロー賞グラフ賞を受賞し、初の海外進出作品として「傷だらけのローラ」のフランス語版「LOLA」を欧州やカナダでもヒットさせた。
■日本のコンサート記録映画の先駆けとして音楽史に残る
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そんな素晴らしい活躍をする中で1975年に公開されたのが、ドキュメンタリー映画「ブロウアップ ヒデキ」だ。衛星劇場で放送される。本作は同年7月から8月に開催された「西城秀樹・全国縦断サマーフェスティバル」の模様を撮影し、1時間半のドキュメンタリー映画として完成させたものである。
冒頭では、富士緑の休暇村の特設ステージにて開催された日本歌謡史上初の大規模野外コンサートの模様が映し出される。全国ツアーの皮きりのステージだが、打ち合わせや設営の模様、新宿から特別運行されたバス車内のファンの様子、さらには会場を埋め尽くしたファンの肉声に至るまで、舞台裏に克明に迫った映像が非常に興味深い。
■スター・西城秀樹の姿だけではなく、オフの姿も収録
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当時20歳だった西城秀樹のステージパフォーマンスは圧巻だ。富士山麓のオープニングでは、火の鳥をモチーフにした衣装を纏い、工事用の特大クレーンに釣られたゴンドラに乗って登場。そのまま空中での歌唱など、まさにスーパースターである。ツアー合間に1日だけ設けられたオフに沖縄の砂浜でつかの間の休息を味わう秀樹の姿も微笑ましい。
また、しばしば挿入されるインタビュー音声も貴重な肉声の記録だ。ステージを降りて1人の青年に戻った彼が、恋愛観やファンへの想いなどを素直に吐露するのも清々しい「この愛のときめき」、「情熱の嵐」、「激しい恋」、「至上の愛」といったオリジナルのヒットナンバーに加えて、ローリング・ストーンズの「悲しみのアンジー」など、洋楽のカバー曲も披露される。激しいアクションに加えて、情感たっぷりに歌いあげるバラードでの歌唱力も見事だ。
大阪球場でのエンディング・フェスティバルでは、レーシングカートを操りながら爆音と共に登場。スタンドを埋めつくした大観衆は、カクテル光線が照らす舞台の中央に立つヒデキに絶叫を浴びせる。当時のファンたちの熱狂ぶりもものすごい迫力だが、真っ赤なスポーツカーから体を伸ばし、ファンに手を振りながら場内を一周する演出など、近年のスタジアムライブでフロートを使った演出の先駆けと思わせ、じつに興味深い。
■野外フェスもスタジアムコンサートも西城秀樹がパイオニアだった
放送情報
ブロウアップ ヒデキ
放送日時:2025年12月17日(水)18:45~
放送チャンネル:衛星劇場(スカパー!)
出演:西城秀樹
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
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