吉永小百合天海祐希の初共演作!圧倒的オーラで紫式部と光源氏を好演した「千年の恋 ひかる源氏物語」

俳優

(C)2001「千年の恋 ひかる源氏物語」製作委員会

紫式部は亡き夫によく似た従兄弟の藤原道長(渡辺)から、いずれ帝と結ばれる娘・彰子の教育係として都に来てほしいと頼まれ、教育の傍ら、自身が執筆している「源氏物語」を題材に男と女の違いやあり方を説いていく。その物語に登場する主人公が稀代の色男として語り継がれる光源氏だ。その構成上、吉永と天海が芝居で対峙するシーンはないのだが、2人の存在感や立ち居振る舞いは、スクリーンの中で強い輝きを放っている。

(C)2001「千年の恋 ひかる源氏物語」製作委員会

まず、圧倒されるほどの美しさで紫式部を演じた吉永は、穏やかなトーンのセリフ回しと言葉遣いで、節々から才女であることを感じさせる佇まい。一方で、彰子のライバル的存在である定子の教育係が清少納言(森光子)であることを聞かされた時には、心の奥で燃える感情と負けん気の強さを表情だけで表現。そして、物語の中、藤壺(高島礼子)が源氏の子を身篭ったという逸話に驚く彰子に、やや低い声で「帝の子と言い張ればそのようでもありますし」と話す場面では、女性の迫力を宿している。時代に翻弄される女性たちを憂い、男と女を俯瞰で見ているようでいて、心を寄せた男性のことを想う時には乙女のように恥じらう表情を見せるなど、吉永の多面的な演技に魅了される。

■色気を纏った好色家の光源氏を天海祐希が魅力的に演じる

(C)2001「千年の恋 ひかる源氏物語」製作委員会

愛する母を早くに亡くし、継母の藤壺に母の面影を見た光源氏は、禁断の愛に走り、妻・葵の上に先立たれたこともあって、奔放な恋愛遍歴を重ねていく。美しい女性に出逢った瞬間に発せられる源氏の口説き文句は好色家以外の何者でもないのだが、凛として涼しげな天海は、魅力的な光源氏像を作り上げている。宝塚時代に培った体幹、所作の美しさを活かした舞い、白馬に乗る場面などは言わずもがなだが、妙齢の女性に逆に迫られてたじろぐ姿など、現在の天海に通じるユーモラスな芝居も見られる。また、心の底では最も大切に思っている紫の上(常盤貴子)に向ける優しさや戸惑い、甘えによる傲慢さが混ざり合った視線やセリフ回しなど、細やかな表現が秀逸だ。

作品の中に生きる光源氏を演じた天海と、後の世代への願いも託した小説をつづった作家・紫式部を演じた吉永。2人の女優の芯の強さ、毅然とした美しさが垣間見える演技は必見だ。

文=山本弘子

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放送情報

千年の恋 ひかる源氏物語
放送日時:2025年12月10日(水)10:30~、12月17日(水)12:30~
チャンネル:東映チャンネル(スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

出演:吉永小百合 天海祐希 常盤貴子 高島礼子 かたせ梨乃 竹下景子 渡辺謙

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