(C) 2008 「グーグーだって猫である」 フィルム・コミッティ
売れっ子漫画家の麻子は吉祥寺で暮らし、ナオミ(上野樹里)を始めとする4人のアシスタントを抱えながら、徹夜も当たり前の多忙な日々を送っていた。そんな時に相棒のサバが天国に旅立ち、麻子はショックから漫画が描けなくなってしまう。「最後から二番目の恋」の千明が部下から頼りにされる姉御肌と言うならば、本作の麻子は真逆で、アシスタントから心配されるタイプ。特に彼女を気にかけているのは、学生時代に麻子の漫画を読んで人生が変わるほどの衝撃を受けたナオミ。つかず離れずの距離で、麻子の人生にエールを送り続ける。
サバとの最期の別れの時もアシスタント全員が号泣している中、ひとりだけ涙を流せなかった麻子は、後に子猫のグーグーと運命的な出会いを果たしたことによって青年・青自(加瀬亮)とも知り合い、徐々に自分を取り戻していく。言葉数は少なく、楽しい時も悲しい時も微笑みを浮かべている主人公を、小泉がファンタジーと現実の境目を生きているような不思議な雰囲気を纏って表現している。
■時折見せる達観したような表情が、美しすぎる
(C) 2008 「グーグーだって猫である」 フィルム・コミッティ
青自にごはん粒がついていると指摘され、ソバージュヘアを焦って確認する天然なところがある麻子。グーグーと一緒に過ごし、土の上に寝転がって空を見上げる場面では、「サバのこと考えているでしょ?」と指摘されて、穏やかな表情を見せる。どこか達観したような微笑みは現在の小泉に通じるところがあり、小島麻子という少女漫画家と小泉今日子というひとりの女性の境界線が消えるような感覚に陥ったりもする。
シュールで切なくも、主人公を取り巻く猫や周囲の人たちの愛情に心温まる本作。小泉の人生観や深みが垣間見える演技とともにじっくり味わってほしい。
文=山本弘子









