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「太陽にほえろ!」や「Gメン'75」、「非情のライセンス」など伝説的な刑事ドラマがひしめきあった1970年代。その中でもひときわ輝きを放つ作品が「特捜最前線」だ。警視庁特命捜査課の活躍を描いた本作は、アクションや謎解きよりも事件の背景や犯行に至る人間模様を重視。社会問題に真正面から取り組んだ見ごたえあるドラマを展開し、1977~1987年まで10年(全508話)にわたって愛された刑事ドラマの金字塔である。そんな本作のキーマンが、神代課長を演じた主演の二谷英明と桜井警部を演じた助演の藤岡弘、だ。
■二谷と藤岡、2人の名優の共演は必見
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二谷は26歳の時にアナウンサーから俳優に転向した異色のキャリアの持ち主。日活入社は1956年で、同期には小林旭がいる。知性的なルックスを武器に、石原裕次郎の宿敵を務めた「赤いハンカチ」や宍戸錠とコンビを組んだ「ろくでなし稼業」など、おもに助演や相手役で存在感を発揮した。1971年に日活を退社した後はTVドラマを主戦場に活躍し、「特捜最前線」に出演したのは47歳の時である。
いっぽう藤岡は松竹でキャリアをスタートし、映画を中心に活動したが1970年に退社。翌年の1971年、25歳で主演した特撮ドラマ「仮面ライダー」が一大ブームを巻き起こし、その名を日本中に知らしめた。その後はジャンルを問わず映画やドラマに出演したが、つねに"子供たちのヒーロー"のイメージはついて回った。そんな中で出演したのが「特捜最前線」だった。
二谷が演じた神代は警視庁に新設された特命捜査課を率いる課長。刑事であり、組織人であると同時に社会人、大人としての常識も持ち合わせたリアルさ、安定感も魅力といえる。刑事ドラマのボスといえば存在感を発揮して部下を引っ張る親分のイメージがあるが、神代は叱咤や激励など感情には訴えず、部下に考えることを促しながら指導する理性派。気難しさや人間的な弱さを持ちながら、問題が起きると責任者として盾になる理想のリーダーを体現し、壮年期における二谷のイメージを決定づけた。
■藤岡は多彩な感情表現で魅せる
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藤岡の桜井の役どころは迷える熱血漢。被害者に感情を移入しすぎて、捜査に支障をきたす姿も時おり描かれた。憤りなど感情を内に秘めるタイプのため、時には暴走しトラブルに発展することも。社会の矛盾が題材になることも多い本作で、見る側の気持ちの代弁者という位置づけだ。手が出やすいタイプでアクションの見せ場もあるが、粗削りな身のこなしを含めヒーローとは一線を画した存在。多彩な感情表現が求められた桜井は、藤岡のキャリアにおけるターニングポイントとなった役柄なのだ。
互いに信頼を寄せながら、沈着冷静な神代と情熱的な桜井は真逆な性格。方針をめぐりぶつかる姿も描かれたが、それはまるで師弟や父子のようでもあった。二谷と藤岡の初顔合わせは映画「日本沈没」(1973)に続きこれが2度目だが、正面から芝居をした作品はこれが初のこと。藤岡は撮影当時の二谷について、映画人らしい真剣な姿勢で臨んでいたので緊張感ある仕事ができたと振り返っており、役の上だけでなく俳優としても師弟や父子のような関係で結ばれていたようだ。ドラマとしてのクオリティはもちろん、二谷と藤岡のやりとりに注目するのも本作のお楽しみなのだ。
文=神武団四郎









