自身が企画にも参加した金曜ナイトドラマ「探偵さん、リュック開いてますよ」で、探偵であり、発明家でもある主人公を演じている松田龍平。佇んでいるだけで存在感があり、独特の陰りと個性を放つ松田は、これまでもさまざまな役を演じてきた。坂元裕二脚本の「カルテット」や「大豆田とわ子と三人の元夫」、大泉洋とタッグを組んだ「探偵はBARにいる」、コミュニケーション下手な主人公を演じた「舟を編む」など挙げればきりがないが、"演じていること"を感じさせず画面の中に存在している松田の在り方は、"自然体"を超えた次元にいるのかもしれないと思わせられる。
そんな松田が2022年に主演を務め、突然失踪した妻・仁美(蓮佛美沙子)を追って、ひとり娘とともに妻の故郷を訪ねる医師・岩森明を演じたのが「連続ドラマW 鵜頭川村事件」だ。本作のメガホンをとったのは、「SRサイタマノラッパー」シリーズや「AI崩壊」も手掛けた入江悠監督。櫛木理宇による同名小説をもとに映像化した、WOWOW初のパニック・スリラー作品だ。
(C)2022 WOWOW INC.
舞台になるのは、昔からの伝承が残る山奥の"鵜頭川村"。過疎化という問題を抱えた集落は集中豪雨によって孤立し、さらに密室化。村から1歩も出られなくなる状況に加え、村人たちも謎の死を遂げていく。妻を探すために村を訪れたのに、次々に起こる不測の事態。そんな状況下で岩森は臨時の診療所を開設することになり、この事態に否応なしに巻き込まれていくことに。村で古くから信仰されている神様や、 "エイキチの祭事"の存在も、ミステリー要素を深めていく。
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そして、この閉ざされた物語の心理的な怖さを体現しているのが、松田の存在だ。感情をあまり表には出さず、受け入れていく過程を描いた前半は、掴みどころのない役を多く演じてきた松田らしい。しかしその後、村で起こる事件によって心の奥底にある感情が徐々に剥がされていく岩森を演じる松田の演技の振り幅に、引き込まれずにはいられない。









