
久利生は訳あって中卒だが、大検、司法試験を経て検事となった男。スーツを着ることはなく、常にラフな服装で、相手が誰であっても物怖じしない型破りかつマイペースな異端児だ。だが正義感が強く行動力もあり、周りを巻き込みながら事件の真相を究明し続ける。
木村が演じているだけあって、久利生には魅力的なシーンが数多くある。第1話の冒頭、通販番組で魅力的な商品と出合った時の笑みなどはいかにも楽しそうだし、雨宮を捜しつつ、とぼけた感じで他の検事の部屋に入っていくシーンなども、とても自然だし絵になっている。
第2話では、被疑者の弁護士の作戦に苛立ったような怒りを見せ、最後にはまっすぐに相手を見て「汚くないすか?」と言い放つ。また第5話では、強い決意によって真実を話した相手を、澄んだまなざしで見つめる。
普段の飄々とした雰囲気、事実を曲げようとする相手に立ち向かう姿、情に溢れるまなざし。久利生の人としてのさまざまな魅力や、検事という仕事への熱量が、木村の演技から十二分に伝わってくる。同時に、木村自身が持つ雰囲気やルックスによって、それらがさらに強い印象を残し、物語に力強く引き込んでくれる。
■お堅い事務官が変化していく様子を魅力的に演じた松たか子
松が演じる雨宮は、真面目で堅い性格。眼鏡をかけ、芯のある声でハキハキと喋る、キリッとした印象の事務官だ。城西支部に赴任した久利生のサポートをすることになるが、真面目なだけに、当初は自由奔放な久利生とは折り合いが悪い。
第1話の下着泥棒の取り調べでは、下着の話で被疑者と盛り上がる久利生を制して自分で厳しく尋問し、また、下着を盗まれた女性たちと楽しげに話している久利生に怒声を浴びせるなど、雨宮の性格がその演技からよく伝わってくる。
しかし、信念を持って調査に当たる久利生に感化され、やがて2人は良いコンビとなっていく。第5話で、2人で調査先に泊まった後からは、女性らしい可愛らしさも滲み出るように。第6話でバーに探し物をしに行った時、久利生に連れ戻されるシーンなどは、ついクスッとしてしまい、そういった雨宮の変化も本作の見どころと言える。
もう四半世紀前の作品だが、今も夢中になって楽しめるのは、木村や松らの魅力ある演技と、作品そのものの高い完成度があってこそだろう。「HERO」シリーズは、「映画『教場』公開記念!木村拓哉 名作ドラマ一挙放送」として、2月から3月にかけてフジテレビTWOで放送予定。これを機会に、ぜひこの名作に触れてみてほしい。
文=堀慎二郎




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