主演・綾瀬はるか×池松壮亮、「あなたのそばで明日が笑う」は"心に寄り添う"物語――震災の喪失感から未来へ踏み出す姿を描いた名作

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(C) NHK

書店再建の相談に乗ってもらうための打ち合わせに蒼は少し遅刻してしまい、初対面から瑛希をイライラさせる。待ち合わせたカフェで瑛希は「遅れたことを謝ってほしい」と伝え、おっとりした蒼を待っていられないとばかりに間を置かずに話し出す。その後、遥と3人で物件の下見に行った時も、蒼の提案に「やめた方がいい」と無表情で水を差す。一方、よそから来た建築士の言動により、作り笑顔でなんとか平穏を保っていた蒼の心が揺れていくさまを、綾瀬は表情や声のトーンで表現する。瑛希に「石巻を知っているように話さないでほしい」と苛立ちを伝え、そのことによって瑛希は1人でカメラを持って津波の到達位置を記した壁や更地になった土地の写真を撮るようになる。

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夫と過ごした砂浜で蒼が大切に心の中にしまっていた思い出を瑛希に話し、「私、今でも高臣を待っているんです」と心情を吐露する場面は、2人の芝居が多くのことを物語る。無言で蒼の言葉に耳を傾け、目を伏せてうなずく瑛希と、これまで誰にも話していなかった気持ちを伝えたことで清々しい表情を見せる蒼。綾瀬と池松の演技によって、2人の心情がじんわりと伝わってくる。

■心にそっと寄り添う物語の温度感に、綾瀬と池松がハマる

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会えなくなってしまった高臣も含めて、全ての登場人物を"置いていかない"本作。鍵になっているのは、"寄り添うこと"だ。父のことを話してくれない蒼の気持ちをなんとなく察することができる年齢になった六太は、母に寄り添う。蒼の癒えない悲しみを受け取った瑛希は、いつしか蒼たちの書店を再生させるために力を尽くすように。「焦らなくてもいい」と言ってくれているような物語は、視聴者の心にも寄り添っていく。

綾瀬と池松が、内面の優しさと愛がじわじわと伝わる芝居で見せた本作。制作者と俳優陣が届けたいメッセージがひとつに溶け合った名ドラマと言えるだろう。

文=山本弘子

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