本シリーズの面白さは、そんな被告人を追及する検察官との対比にもある。渡辺いっけい演じる時代劇検察官が、現代の法律を武器に歴史上の偉人たちを罪に問う、息詰まる弁論合戦も見どころの1つだ。検察官が身振り手振りを交えながら鋭く追及する「動」の攻勢を見せれば、土方は冷徹な論理で真っ向から応戦。歴史上の人物を現代の法廷で裁くという設定ならではのユーモアもあり、シリアスになりすぎない軽妙な掛け合いも楽しめる。
また、検察官から激しい言葉を浴びせられたとき、土方の口角がほんのわずかに上がる瞬間がある。しかし、ふっとこぼした冷たい笑みは、怒りでも焦りでもなく、武士の矜持を理解できない現代の価値観に対する「呆れと憐れみ」が混ざったような絶妙な表情にも映る。こうした微細な変化を積み重ねることで、高橋は土方という人物の内面を画面に刻み込んでいく。
2012年に放送された本作は、高橋が「民王」で注目を集める前に世に出た作品だ。感情を抑えながらも見る者を魅了する彼の存在感は、後年につながる表現力の片鱗を感じさせる。そして、先述の通り栗塚が本人役でカメオ出演し、土方歳三について語るシーンも見どころの1つである。若き高橋一生が演じる土方歳三と、栗塚旭が残した誠の心を今回の特別放送で見届けてほしい。
文=HOMINIS編集部



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