国民的ドラマ「相棒」シリーズの杉下右京役をはじめ、「熱中時代」シリーズなど長年にわたって数々の作品に出演してきた水谷豊。
一方、キャンディーズのメンバーとして一世を風靡し、解散後は俳優として活躍を続ける伊藤蘭は、近年は再びアーティストとして精力的なライブ活動を展開している。
私生活では夫婦である2人が、ドラマ「事件記者 チャボ!」(1983~84年)以来、2013年に約30年ぶりに俳優として共演し、初めて夫婦役を演じた映画が「少年H」だ。戦時下の神戸を舞台に、長い時間を共にしてきた2人が向き合ったのは、時代に翻弄されながらも家族を守ろうとする1組の夫婦。そんな本作が、9月24日(木)25:50より日本映画専門チャンネルで放送される。
妹尾河童の自伝的小説を降旗康男監督が映画化した本作。昭和初期から戦中、終戦直後までの神戸を舞台に、洋服の仕立て屋を営む父・盛夫(水谷豊)、キリスト教徒の母・敏子(伊藤蘭)、好奇心旺盛な少年「H(エッチ)」こと肇(吉岡竜輝)ら妹尾家の日々を描く。
軍国主義の色が濃くなり、自由にものを言うことが難しくなっていく時代。それでも盛夫は、Hに自分の目で現実を見て、自分の頭で考えることの大切さを伝えていく。穏やかな物腰の中に、周囲に流されない信念を宿らせる水谷の演技が印象的だ。
その人物像が具体的に表れるのが、迫害から逃れてきた外国人たちの衣服を修繕する場面。長旅を経た衣服をめぐって周囲から白い目を向けられても、盛夫は仕立て屋として仕事に向き合う。社会の偏見が日常に入り込むなか、相手の立場に左右されず、目の前の人間と向き合おうとする姿が、細やかな所作から浮かび上がる。




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