ジンガ役・井上正大が「牙狼＜GARO＞」やデビュー10周年について語る

スタイリッシュでハイクオリティな特撮作品を作り続けている、クリエーター・雨宮慶太の代表作の１つ、特撮ドラマ「牙狼＜GARO＞」シリーズ。この世の闇に潜む魔獣 "ホラー"を狩ることを宿命づけられた"魔戒騎士"と呼ばれる戦士の中でも、最高位「ガロ」の称号を持つ青年たちの苛酷な運命とその戦いを描く。最新作となる「神ノ牙-JINGA-」は、2015年に放送されたTVシリーズ「牙狼＜GARO＞－GOLD STORM－翔」に登場した人気キャラクター・ジンガを主役に迎え、新たな魔戒騎士「御影神牙」の物語を描く作品。今回、御影神牙役の井上正大に、作品や役への思いについて聞いた。

「牙狼＜GARO＞－GOLD STORM－翔」は、井上さんにとってどういうものでしたか？

「すごく思い入れのある作品となりましたね。出演のきっかけは、とある現場で、雨宮監督が僕に『サインちょうだいよ』って声を掛けてくださって、サイン交換したことなんです。帰り際に、雨宮監督が『今度呼ぶよ』と一言だけおっしゃって、僕も『機会があればよろしくお願いします』みたいな軽い感じで別れたんですけど、その後『－GOLD STORM－翔』のお話をいただきました」

「雨宮監督の世界観にどれだけ応えることができるか、最初はいろいろ試行錯誤しながらジンガというキャラクターをイチから作らせていただきました。後に『神ノ牙-JINGA-』としてドラマシリーズまで続くとは、その当時は思ってもいませんでしたから、最新作でジンガを演じられるのがすごくうれしいですね。あと、主役の道外流牙を演じた栗山航君と殺陣(たて)のシーンを、切磋琢磨しながらやらせていただいたのも、とても印象に残っています」

悪役だったジンガが、最新作ではついに主人公となりました。ここまでファンに愛されるキャラクターになった理由はどこにあると思いますか？

「正直言って、あんまり分からないんですよ。自分の中では『こういう感じで演じたいな』というのはあって、それが皆さんにウケたかどうかは定かではないんですけど。悪役だけどちょっと品があって、周囲に対しては基本的に無関心だけど、興味が持てることに対しては子供のような目をする。あとはワイン飲んでいる、足組んでいるとか、金持ちそうな感じのイメージで作らせてもらいました」

再び井上さんのカッコイイ銀髪姿を拝見できて喜んでいるファンも多いですが、雨宮監督から銀髪のオーダーを聞いて、どう思われましたか？

「今回は作品の根幹から携わらせていただいているので、むしろ自ら銀髪にしようと提案したんですけど、銀髪を維持するのは針の穴に糸を通すくらいに難しいんです。『－GOLD STORM－翔』の時は、ちょいちょいメンテナンスに行くことができたんですけど、それでもブリーチで髪の毛が切れていくんですよ。今回は撮影期間が短めなんですけど、主役なのでメンテナンス日も少なく、どうしようか頭を悩ませているところです。でも最初に雨宮監督が『カツラは嫌いなんだよね』って言ったのが発端なので、ちょっと恨んでます(笑)」

今年デビュー10周年を迎える井上さんですが、これまでの歩みを振り返っての感想をお聞かせいただけますか？

「今だから言えることですが、最初は俳優の仕事にそんなに興味はなかったんです。でもデビュー当時は、以前から知っていた作品に出演させていただいて、とても楽しく演じられました。そこから徐々に俳優の仕事に対して『自分はこれで生きていこう』と思えるようになって。そんな中で『ものを作るのが好き』という僕の本質が、良くも悪くも出てきましたね。最初は役作りが好きだったんですけど、少しずつ役者の領域を超えて、いろんな作品やお話も作りたくなってきたんです。『牙狼＜GARO＞』では、舞台の演出や本作りなどにも携わらせていただきました」

「10年間を振り返ってみて、自分としては段々自然な自分の形になってきたというか。10年後が楽しみだなって思えるような10年でしたね。10周年という節目を迎えて、感慨深いものはありますが、また新たな気持ちで進んでいけたらなと思います」

文＝中村実香　撮影＝中川容邦

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