桜井玲香(乃木坂46)藤間爽子が舞台「半神」で見せる"ふたつでひとつ"の表現

萩尾望都の名作漫画「半神」の舞台版が蘇った。1986年に原作の萩尾と劇団夢の遊眠社の野田秀樹による共同脚本にもとづき初演。以降、幾度となく上演されてきたこの作品が、2018年7月に桜井玲香(乃木坂46)と藤間爽子のW主演で新生した。演出に中屋敷法仁を迎えた同作が、11月23日(金)にTBSチャンネル1にて放送される。

知能は高いが痩せこけて醜いシュラ(桜井)と、知能が低く話すことができないものの美しい笑顔を持つマリア(藤間)は、結合双生児として生まれた。10歳の誕生日が近づくなか、互いに依存し合ってきた2人は衰弱し始め、分離手術を受けることに。しかし、手術が成功しても助かるのはひとりだけ。果たして、生き残るのはシュラかマリアか。

撮影:田中亜紀

シュラ役の桜井は乃木坂46の1期生。これまで、同グループ単体、もしくはメンバーが多数出演した作品とは別に、劇団スーパー・エキセントリック・シアターの「Mr.カミナリ」(2014年)、主演として臨んだ「嫌われ松子の一生」(2016年)、また、実力派俳優と共演したなかよし60周年記念公演 ミュージカル「リボンの騎士」(2015年)など数々の舞台を踏んできた。乃木坂46のキャプテンを務める彼女は、大らかな性格の持ち主として知られる一方で、責任感や意思の強さを垣間見せることもある。今作で演じたシュラは、強い語気で周囲の人々やマリアをけん制しながらも、最後には悲運で結ばれた妹への深い愛情を見せる。そんな愛憎を秘めた複雑な人間性を見事に体現したこの役は、桜井の真骨頂と言えそうだ。

撮影:田中亜紀

シュラと相対的な人格として描かれるマリアを演じた藤間は、日本舞踊家としての顔を持つ。幼少期より祖母・初世家元藤間紫に、現在は祖父・二代目藤間紫(二代目市川猿翁)に師事している。現代劇では「半神」が演劇デビュー作となった彼女だが、日本舞踊で培われた表現力は本物だ。マリアは知能が低く会話ができないうえに、シュラと体がつながっているという点で行動にかなりの制約がある(劇中ではシュラと共に激しい動きを見せるが、個としての動きは制限されている)。そうなると顔の表情で表現しなければならないわけだが、それすら"常に微笑んでいる"という特異なキャラクター性に縛られてしまう。にもかかわらず、藤間が演じるマリアは自由奔放に見えるから不思議だ。そんな妹との共存に葛藤するシュラとの対比は、これ以上ないほどくっきりと描き出されている。

撮影:田中亜紀

この作品では、多くの事象が対比されることで"ふたつでひとつ"の世界を構築している。4次元と5次元、人間と化け物、北半球と南半球、そしてシュラとマリア。それぞれ異なる場所をメインステージとするアイドルと日本舞踊家が、女優として臨んだひとつの舞台で美しく一体化した。

文=大小田真

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放送情報

桜井玲香(乃木坂46) & 藤間爽子W主演舞台「半神」

放送日時:2018年11月23日(金)20:30~

チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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