サヨナラ公演にも熱視線!宝塚雪組トップコンビ・望海風斗&真彩希帆主演作に再注目

望海風斗
望海風斗

3月のタカラヅカ・スカイ・ステージに、2019年10月から11月に雪組全国ツアーとして上演された『はばたけ黄金の翼よ』が登場する。

粕谷紀子氏の劇画「風のゆくえ」を舞台化し、1985年に雪組トップスター麻実れいのサヨナラ公演として上演された作品の再演だ。今回は脚本・演出を、漫画やアニメの舞台化に定評のある小柳奈穂子が手がけている。

物語の舞台は中世の北イタリア。イル・ラーゴの若き領主ヴィットリオ・アラドーロは宿敵であった隣国ボルツァーノを討ち果たし、和平の条件として領主の娘クラリーチェとの政略結婚を受け入れる。最初はヴィットリオを激しく拒むクラリーチェであったが、やがて彼が内に秘める優しさに心動かされ、ヴィットリオもまたクラリーチェに心惹かれていく。だが、長年敵対してきた両国間には権謀術数が渦巻いており、2人も巻き込まれていく...という物語である。

名場面としてよく知られるのが、ヴィットリオとクラリーチェの新婚初夜のシーンだ。父の仇であるヴィットリオにクラリーチェは短剣を突きつける。初演では、当時まだ入団4年目の男役であり、後に雪組のトップスターとなる一路真輝がヒロインのクラリーチェ役を演じ、その初々しい姿も話題になった。

真彩希帆(『はばたけ黄金の翼よ』より)

~原作「風のゆくえ」粕谷紀子(集英社クイーンズコミックスDIGITAL刊)~©宝塚歌劇団  ©宝塚クリエイティブアーツ

この『はばたけ黄金の翼よ』に、雪組トップコンビ望海風斗・真彩希帆が挑む。初演キャストとは持ち味がまったく異なる2人が、この作品をどう見せてくれるのか?演出は変更されるのか?そして、あの「名場面」はどうなるのだろうか。

かくいう私も楽しみにしていたのだが、何と、観劇予定であった公演が台風で中止になってしまった。そのため今、誰よりもタカラヅカ・スカイ・ステージでの放送を心待ちにしている1人である。

望海風斗は2017年、お披露目公演『ひかりふる路(みち) 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』では恐怖政治の立役者ロベスピエール役を演じ、雪組トップスターとしての鮮烈なスタートを切った。ミュージカル『ファントム』のエリック役ではその圧倒的な歌唱力を余すところなく発揮。『壬生義士伝』 の吉村貫一郎役で涙を誘ったかと思えば、『20世紀号に乗って』のオスカー役でユーモラスな一面も見せる。そして、昨年の『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』のヌードルス役では男役の集大成ともいえる円熟味を見せた。多彩な顔を持つ人間味あふれるトップスターである。

そんな望海の相手役を務めてきたのが真彩希帆。これまた抜群の歌唱力と、ただ男役の後をついていくだけではない凛とした強さが魅力のトップ娘役だ。このコンビが奏でるハーモニーは宝塚の最高峰と言っていいだろう。

そして今は2人のサヨナラ公演『f f f -フォルティッシッシモ-』『シルクロード~盗賊と宝石~』で熱く盛り上がっているところだ。

~原作「風のゆくえ」粕谷紀子(集英社クイーンズコミックスDIGITAL刊)~©宝塚歌劇団  ©宝塚クリエイティブアーツ

ヴィットリオに影のように付き従うファルコを演じるのは朝美絢。今年、『ほんものの魔法使』での主演をひかえる今注目の男役スターだ。また、クラリーチェの兄であり隣国ボルツァーノの新領主となるジュリオを永久輝せあが演じる。花組へと組み替えになった永久輝にとって、この作品が雪組最後の舞台となった。

望海・真彩時代の雪組はコスチューム物が少なかっただけに、この『はばたけ黄金の翼よ』は貴重な一作でもある。多彩な顔を持つスター・望海風斗のまた新たな一面に期待したい。

文=中本千晶

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放送情報

『はばたけ黄金の翼よ』('19年雪組・全国)
放送日時:2021年3月14日(日)21:00~
チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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