紅白の司会ぶりも話題になった二階堂ふみが、10代で挑んだ禁断の愛の物語

二階堂ふみは無限の可能性と謎を秘めた、型にハマらない女優だ。NHK朝の連続テレビ小説「エール」で歌手を志しながら作曲家の夫を支える強く優しいヒロインを見事に演じ切ったかと思えば、稲垣吾郎とのW主演となった映画『ばるぼら』では小説家のミューズであり、ミステリアスで退廃的な匂いを放つ"ばるぼら"役で全く違う顔を見せた。

そして、初の無観客開催となった2020年末のNHK紅白歌合戦では司会という大役を務め、初めてとは思えない機転の効いたトークに絶賛の声が相次ぎ、歌唱力も高い評価を得た。思うに、二階堂は近年、稀に見る肝が据わった逸材なのだ。

「私の男」に出演した浅野忠信と二階堂ふみ

(C) 2014「私の男」製作委員会

数々の映画やドラマに出演し、その引き出しの多さで多くの視聴者を魅了してきた二階堂が、10代の頃に浅野忠信と共演した映画『私の男』(2014年公開)が3月MONDO TVで放送される。

原作は桜庭一樹によるベストセラー小説。 18歳になるのを待ってクランクインしたという本作で二階堂が見せる演技とは?

■流氷のオホーツク海で二階堂ふみが見せた女優魂

(C) 2014「私の男」製作委員会

二階堂演じる花は北海道の大地震により、10歳の時に家族を失った孤独な少女。2リットルのペットボトルを手に呆然とする少女を引き取ったのが遠縁の親戚、浅野忠信演じる淳悟なのだが、実は花は淳悟の不貞によって生まれた子どもで父と娘の関係。そのことを知りながら凍りつく北の大地の自然の中でひっそりと暮らす2人は互いの孤独を埋めるように男女の関係になっていく。

高校生になった花と淳悟が求め合うシーンでは禁断の関係を象徴するように血のような赤い雨が降り注ぐ演出が衝撃的で話題になったが、二階堂が見せる官能的で小悪魔的な表情は10代とは思えないほどに刺激的だ。映画は流氷の中から花が這い上がってくるシーンから始まるが、この命がけとも言える場面をスタントも使わず二階堂が演じており、恐るべき女優魂に驚かされる。

■2人にしかわからない絆が余韻を残す

(C) 2014「私の男」製作委員会

想定外の事件が起こったことで花と淳悟は地元を離れ、東京で暮らすようになる。美しく妖艶な女性に成長し、働くようになった花に淳悟は嫉妬を覚えていくのだが、この2人の対比がまた切ない。

(C) 2014「私の男」製作委員会

職場の関係で知り合った男(高良健吾)に「小さい頃はあの人のこと、何だってわかったんです。でも、少しもわからなくなった」と花は打ち明ける。淳悟を演じる浅野が、老いていく1人の男と父親の狭間で揺れる演技は秀逸だ。花にとって本当に愛した男であり家族は淳悟だけなのではないか?と想像させる二階堂の演技も余韻を残す。

この頃から肝の据わった女優だったことが刻まれた映画だ。

文=山本弘子

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放送情報

私の男
放送日時:2021年3月29日(月)1:00~
チャンネル:MONDO TV
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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