20歳の二階堂ふみが主演映画で映し出す、心の揺れと衝動

「この国の空」より
「この国の空」より

NHK朝の連続テレビ小説「エール」に出演中の二階堂ふみ。彼女が演じているのは主人公の作曲家、古山裕一(窪田正孝)の妻。芸術家気質で悩みがちな裕一を励まし続ける歌手志望の行動派のヒロインの存在感に注目が集まっている。

これまで二階堂はNHKの大河ドラマ「平清盛」「軍師官兵衛」「西郷どん」に出演。2019年のドラマ「ストロベリーナイト・サーガ」(フジテレビ系)ではキレ者の女性刑事を演じ、同年公開の映画『翔んで埼玉』では華麗なコスチュームで「埼玉県人にはそこら辺の草でも食わせておけ!」と言い放つ男子高校生を演じるなど、役の幅は驚くほど広い。

(C)2015「この国の空」製作委員会

25歳にして演技派女優として高い評価を得ているのも納得だが、そんな彼女が20歳のときに主演を務めた(撮影中に20歳の誕生日を迎えた)映画が『この国の空』(荒井晴彦監督/2015年公開)だ。この作品が7月3日(金)に衛星劇場にて放送される。戦時中に少女から女性へと移り行く季節を迎える、心の揺れと抑えきれない衝動を表現した演技に吸いよせられずにはいられない。

(C)2015「この国の空」製作委員会

■妻子ある隣人に惹かれる官能的な描写にドキドキ

映画の原作は「谷崎潤一郎賞」を受賞した高井有一による同名小説で、舞台は戦争末期の東京の杉並区だ。空襲警報が鳴り響く恐怖に怯えながらも日々を生きる人々の日常を静かなトーンで描いた作品で、二階堂ふみが演じているのは母(工藤夕貴)と焼け出されて横浜から逃げてきた叔母(富田靖子)と3人で暮らす19歳の里子。

未来が見えず、このまま結婚もできないのではないかという漠然とした不安の中にいる里子は、いつしか妻子を疎開させ、1人で暮らしている中年の隣人、市毛(長谷川博己)を男性として意識するようになる。

汗がしたたり落ちる夏の風景の中、神社の柄杓の水を飲み干す市毛から思わず目をそらすシーンや、抱きしめあったことが忘れられず、夜、庭でトマトをもぎとり、市毛の部屋を訪ね「いま、食べてください」と迫るシーンなど、その描写はエロいというよりも官能的で文学的。性に目覚め、身体と心をもてあます女性の戸惑いと情熱。二階堂ふみの奥行きのある演技に唸らされる。

(C)2015「この国の空」製作委員会

■二階堂ふみの視線に釘付けに

映画のエンドロールに流れるのは二階堂ふみが朗読する茨木のり子の詩「わたしが一番きれいだったとき」だ。1つ1つの言葉がなんともいえない余韻を残し、戦争が終わりを告げようとする中、里子が市毛を見つめるシーンは見る者の想像を加速させる。

その瞳の中に映し出された感情は恋なのか?憎しみなのか?女になった里子の達観なのか?『この国の空』は若干20歳の二階堂ふみという女優のすごさが刻まれた映画でもあるのかもしれない。

文=山本弘子

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放送情報

この国の空
放送日時:2020年7月3日(金)20:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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