朝ドラ「おかえりモネ」が話題の清原果耶が、時代劇で見せた殺陣と美しい佇まい

5月17日に放送が開始されたNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で主演を務める清原果耶が注目を集めている。清原は、2002年生まれで大阪府の出身。中学1年の時に「アミューズオーディションフェス2014」でグランプリを受賞した。

以降はファッション雑誌などでモデルとして活躍していたが、2015年のNHK連続テレビ小説「あさが来た」で俳優デビューを果たし、ふゆ役を演じた。別の役で受けたオーディションで不合格だったものの、プロデューサーの目に留まってふゆ役のオファーを受けたという。デビュー作ながら存在感を発揮し、早くも女優としての才能が買われ、以降も順調に実績を積んでいく。

清原果耶(「螢草 菜々の剣」より)

映画『3月のライオン』では、3姉妹の次女・川本ひなた役を演じて迫真の「泣きの演技」が話題となる。さらに、主役に抜擢された2018年のNHKドラマ「透明なゆりかご」では、産婦人科医院の看護助手役を演じ、「東京ドラマアウォード2019」主演女優賞を受賞している。

放送中の「おかえりモネ」だけでなく、俳優デビュー作の「あさが来た」や2019年の連続テレビ小説「なつぞら」にも、広瀬すず演じる主人公の妹役で出演しており、NHKの朝ドラとは縁が深い。また、前出の「透明なゆりかご」のほか、2016年には大河ファンタジー「精霊の守り人」にも出演するなど、NHK作品への出演が目立っている。

そんな清原が時代劇に出演して話題を呼んだ作品が、2019年に放送された「螢草 菜々の剣」(NHK作品)である。同作は、無念の死を遂げた父の仇を討とうと決意する菜々の物語だ。清原は、和服姿での殺陣にも果敢にチャレンジし、俊敏な動きを見せて共演者にも絶賛された。さらに時代劇独特の所作も丁寧にこなして、スタッフをうならせている。

主人公・菜々は武家の出だが、藩内の不正を明らかにしようとした父が無実の罪で切腹に追い込まれた後、出自を隠して母の実家に身を寄せていた。奉公に上がった風早家には、優しい奥様の佐知と主の市之進がいたのだが、佐知は結核で亡くなり、藩内の不正を正そうとする市之進にも魔の手が迫る。そこで菜々は、父の仇討ちに加えて、市之進とその子供たちを守るために仲間たちと共に敵と戦うことを決意する...というストーリーだ。

おもな共演は、市之進役に町田啓太、佐知役に谷村美月、さらに父の死に深く関わった轟平九郎役に北村有起哉といった面々。さらに、濱田マリ、石橋蓮司、宇梶剛士といった個性的なベテラン俳優たちが登場して、画面を引き締めてくれる。

わかりやすいストーリーも見やすくて好感が持てるし、北村有起哉のヒールっぷりも印象深い。淡々とした人情劇を中心にしながら、見る者を惹きつける。昭和の頃はこういう時代劇も珍しくなかったのだが、最近は時代劇自体の制作数が減ってしまったのが残念だ。本作には脚本をはじめスタッフのドラマ作りのセンスの良さを感じるし、さらには清原の演技の底力と佇まいの美しさだけでも見る価値がある。

「螢草 菜々の剣」は6月から時代劇専門チャンネルで放送される。近年ではあまり見られなくなった時代劇の本質を見せてくれる良作だけに、この機会に見てみたい。

文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)

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放送情報

螢草 菜々の剣
放送日時:2021年6月11日(金)21:00~
※毎週(月)~(金)21:00~、6月18日(金)は休止
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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