清原果耶が「命の現場」で見せた、ドキュメントのような手触りの真っ直ぐな演技

「透明なゆりかご」
「透明なゆりかご」

現在放送中の「ファイトクラブ」(TBS系)では民放ドラマ初主演を飾るなど、最近の活躍ぶりには目を見張るものがある清原果耶。夢破れたスポ根ヒロインと一発屋ミュージシャン、一途な幼なじみが織りなす不器用な恋模様を描くこの作品でも、瑞々しさとコミカルさを併せ持った演技で人間味のある主人公像を体現している。

「逃げるは恥だが役に立つ」(2016年)、「カルテット」(2017年)、「恋はつづくよどこまでも」(2020年)など、個性的な恋愛ドラマでヒットを連発してきた"火ドラ"枠の主演に抜擢されたことからも、その期待の高さを窺い知ることができるが、そんな清原の名をお茶の間に知らしめた作品と言えば、NHK連続テレビ小説の第104作「おかえりモネ」だろう。

宮城県気仙沼で生まれ育ったヒロイン・モネが、気象予報を通じて地域に貢献しようと成長していく姿を描いた本作。ハツラツとしていながらも、東日本大震災に対して様々な感情を抱えるデリケートな役となったが、清原はモネの複雑な胸中を丁寧に演じてみせた。

清原果耶の重要な作品になったドラマ初主演作「透明なゆりかご」
清原果耶の重要な作品になったドラマ初主演作「透明なゆりかご」

芯を感じさせる佇まいに抜群の演技力...清原の魅力を十二分に引き出してみせたのが、安達奈緒子の脚本だ。それもそのはず、「おかえりモネ」以前にも清原と安達はタッグを組んでいる。その作品が、NHKにて2018年に放送された「透明なゆりかご」だ。

清原にとってドラマ初主演となった本作は、沖田×華の漫画「透明なゆりかご 産婦人科医院 看護師見習い日記」を原作に、町の小さな産婦人科医院を訪れる人々を描いたヒューマンドラマ。生まれゆく命と消えゆく命という重厚なテーマを温かみのある雰囲気に包み、全日本テレビ番組製作社連盟が主催する第35回ATP賞でのグランプリをはじめ数々の賞も受賞している。

「透明なゆりかご」
「透明なゆりかご」

清原が演じたアオイは、近所の産婦人科で看護助手としてアルバイトをする准看護学科に通う高校生。不器用でコミュニケーションが下手だが、独特の感受性と真っ直ぐな性格の持ち主で、様々な"命"を目の当たりにし、自分の進む道を見出していく。

生まれたばかりの赤ちゃんへ向ける穏やかな眼差しや笑顔、出産に立ち会い圧倒されて思わず流す涙、影の部分を知り浮かべた苦悶...と、"命の現場"でアオイに生じる感情を清原が偽りなく表現。ドキュメントのような素直な演技は真に迫るものがあり、思わずアオイの気持ちに共感した視聴者も少なくないはずだ。

「透明なゆりかご」
「透明なゆりかご」

東京ドラマアウォードの主演女優賞を受賞するなど、この作品での演技が高く評価された清原。2019年にはNHK連続テレビ小説「なつぞら」でヒロインの妹を演じたほか、「螢草 菜々の剣」、「マンゴーの樹の下で〜ルソン島、戦火の約束〜」と立て続けにNHK系の作品に出演。さらに「おかえりモネ」ではオーディションなしでヒロインに指名されるなど、キャリアの上で「透明なゆりかご」が、いかに重要な1作だったかは言うまでもないだろう。

1月30日に誕生日を迎え、20歳になったばかりの清原果耶。今後もその類まれな表現力と意志の強さを感じさせる佇まいを武器に、国民的女優としての階段を上っていくことだろう。

文=HOMINIS編集部

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放送情報

透明なゆりかご
放送日時:2022年3月13日(日)10:50~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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