俳優・西城秀樹の色気と可愛さが全開!豪華俳優が共演した昭和のホームコメディ

「花吹雪はしご一家」より
「花吹雪はしご一家」より

1972年に「恋する季節」で歌手デビューした西城秀樹は、翌年にリリースした「ちぎれた愛」などのヒットを機に歌手として開花。1974年には、TBS系テレビドラマ「寺内貫太郎一家」にレギュラー出演し、俳優としても活躍していく。パワフルで野性味を感じさせる半面、どこか繊細で悲哀を感じさせるという、独特の「色気」を持っていた西城は、歌手としてスターの階段を駆け上がりながら、演技にも磨きをかけていった。

「花吹雪はしご一家」に出演の西城秀樹ら

(C)TBS

1974年公開の主演映画「愛と誠」が評判となった彼が、1975年に出演したホームドラマが、「花吹雪はしご一家」だ。同作は、東京・吉祥寺のとび職一家・江戸家を舞台に、江戸っ子気質の家族の情愛を描くホームコメディ。女主人として江戸屋を切り盛りする森光子が主演を務め、西城は次男坊の銀二を演じている。加山雄三、荒井注、五月みどり、泉ピン子、左とん平といった超豪華な俳優たちが顔をそろえた同作は、最高視聴率26.4%、平均20.3%というヒット作となった。

同作において西城演じる銀二は、とび職を辞めて船乗りになることを夢見ている。長男である金一(左とん平)もどこか頼りなく、銀二とは些細なことで口ゲンカが絶えない。時代遅れの職人という仕事には、ネガティブな思いもある様子。

硬派な役どころが多かった当時の西城にとっては新路線で、ちょっと軽めでコメディ的な表現が求められる役をうまく演じていた。ビジュアル的には職人らしからぬ長髪がよく似合い、相変わらず色気があってカッコいい。江戸っ子らしい啖呵を切る場面で、巻き舌気味のセリフ回しで相手に食って掛かったかと思えば、母親に甘えるようなしぐさなどもあり、「可愛いヒデキ」の一面をファンにアピール。俳優としての新境地を拓いた作品と言える。

(C)TBS

ちなみに同作には金一の妻・一子役で泉ピン子が出演しているのだが、当時の彼女は女優業に進出したばかり。ピン子は懸命に演じたものの、当時はさすがに経験不足で、ずいぶん苦労したという。それでも、現場で人一倍かわいがられた彼女は以降も努力を続け、大女優への道を歩み始めるのだ。

また、西城秀樹の妹役で相本久美子も出演していることにも注目。当時は近藤久美子の名前でグラビアなどで活躍していた彼女も、同作で人気が高まり、劇中で挿入歌「初夏景色」も歌った。その後、日本テレビ系の「TVジョッキー」でアシスタントを務めてブレイク。以降は女優・タレントとして活躍していった。

(C)TBS

近年では「住みたい街ランキング」の上位常連となっている吉祥寺だが、1970年代のこの頃は、若者文化の発信地として注目され始めていた頃だ。そんな街にある、いかにも古風なとび職一家という設定が、なんともミスマッチで面白い。一家の日常をコミカルながらも情感たっぷりに描き、なじみの薄い「とび職」という仕事の裏側も新鮮に映る。令和の現代に見ても、色褪せることなく楽しめる作品だ。

若き泉ピン子の初々しい演技や森光子の貫禄も見ごたえ十分。加山雄三もまさに「男前」で、スターに恥じない存在感。そして何より、西城秀樹の「色気」と「可愛さ」が堪能できる魅力的な一作となっている。

文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)

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放送情報

花吹雪はしご一家
放送日時:2021年6月16日(水)20:00~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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