中島 敦や芥川龍之介、太宰 治といった文豪の名を懐(いだ)くキャラクターたちが、架空の都市・ヨコハマで活躍する異能バトルアクション漫画「文豪ストレイドッグス」。その舞台版、通称"文ステ"は2017年に始まった。キャストやアンサンブルの身体表現と、プロジェクションマッピングを融合させた異能力の演出法などが話題を呼び、これまで5作が上演されてきた人気シリーズだ。
そして最新作となる、舞台『文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳』が、10月5日より東京・大阪にて公演中。本作は、中島 敦が武装探偵社の一員となった"現在"より7年前の物語。のちに"双黒"と称されるようになる、中原中也と太宰 治の出会いを描く。
ポートマフィアの新たな首領となった森 鴎外から、初仕事を命じられた太宰 治。その内容は、死んだはずの先代首領が擂鉢街(すりばちがい)に現れたという噂の真相を探れというものだった。そして、太宰は調査の最中、ポートマフィアと敵対する未成年者たちの組織"羊"のリーダー・中原中也の襲撃を受ける。重力を操る異能を持ち圧倒的な戦闘力を見せる中也は、謎に包まれた"アラハバキ"なるものについて調べており、その情報を寄こせと迫る。まったくそりが合わず、いがみ合う2人。しかし、先代首領の出現と"アラハバキ"に関連があると考えた森の企みによって、太宰と中也は仕方なく協力することに。
中原中也を演じるのは初演から"文ステ"シリーズに参加している、2.5次元舞台のトップランナー・植田圭輔。今回は過去作では触れられなかった、中也の過去や大きな秘密が明かされる。植田自身、「15歳の彼を演じないと中原中也は語れないと思っていた」と言うほど本作への思いは強く、その並々ならぬ意気込みが伝わってくる。また、両手を使わずに蹴りだけで大人数を圧倒するなど、アクションシーンも見応え抜群。そうやって作中屈指の戦闘力を誇る中也を生き生きと演じる一方で、組織のリーダーとしての在り方に悩む15歳らしさも繊細に表現している。
そして、相棒・太宰 治を演じるのは、舞台『刀剣乱舞』の和泉守兼定役や、舞台『弱虫ペダル』の巻島裕介役などで注目を浴びる田淵累生だ。中也と子供のようにののしり合う姿と、時折顔をのぞかせるゾッとするような冷たさや生きることへの鬱屈(うっくつ)。田淵は、太宰が抱えるその二面性を見事に表現している。前作『DEAD APPLE』に続いて2回目の出演となる彼は、植田との息もぴったり。2人の共闘シーンはもちろん、ユニークな演出が光る電子遊技場(ゲームセンター)のシーンにも注目だ。
10月21日(木)~24日(日)にシアター1010 大ホールで行われる東京公演は、Streaming+にて大千穐楽を含む3公演のライブ配信を実施。中原中也、太宰 治のそれぞれに焦点を当てたスペシャルスイッチング配信があるほか、配信特典ブロマイドも各公演にも用意されている。そして、2022年1月には"文ステ"のメインキャストが出演する『映画 文豪ストレイドッグス BEAST』の公開も決定。本編の"IF"の世界が描かれるという実写映画版に植田と田淵も参加しているので、今度はスクリーンでどんな中也や太宰を見せてくれるのか期待が高まる。
文=中島文華 撮影=田中亜紀
公演情報
舞台『文豪ストレイドッグス 太宰、中也、十五歳』
公演日:東京公演2021年10月21日(木)~24日(日)
公演場所:東京・シアター1010 大ホール
※10月23日(土)13:00公演、18:00公演、24日(日)13:00公演は配信あり
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