西城秀樹のけんかシーンも健在!ドラマ史に輝く傑作シリーズの最終作「寺内貫太郎一家2000」

西城秀樹、浅田美代子
西城秀樹、浅田美代子

1974年にTBS系列の水曜劇場枠で放送され、高視聴率を記録した「寺内貫太郎一家」。東京・谷中で三代続く老舗の石材店を舞台に、ワンマンで怒りっぽく、そのくせ涙もろいオヤジ・寺内貫太郎を主人公に、家族や周囲の人々とのふれあいを描いた昭和史に輝くホームコメディーの傑作である。

小林亜星演じる貫太郎が毎回大暴れし、特に西城秀樹演じる息子の周平との大げんかの場面が番組の名物だった。樹木希林(当時の芸名は悠木千帆)演じる貫太郎の母・きんが沢田研二のポスターを見ながら「ジュ~リィ~!」と叫ぶシーンも話題を呼んで、当時の子どもたちの間でも大流行。1975年には「寺内貫太郎一家2」も放送された。けんかの場面で西城が骨折してしまうというアクシデントもあった。

脚本を担当した向田邦子が1981年に飛行機事故で他界するという不幸な出来事があったものの、金子成人らが同シリーズのシナリオを引き継ぎ、その後も「新・寺内貫太郎一家」、「寺内貫太郎一家'98秋」といったスペシャルドラマが制作されてシリーズ化していった。

「寺内貫太郎一家2000」より
「寺内貫太郎一家2000」より

そんな同シリーズの最後の作品となったのが、「寺内貫太郎一家2000」(2000年)である。同作は、小林亜星をはじめ、加藤治子、西城秀樹、浅田美代子、樹木希林とおなじみの顔ぶれが一堂に会し、さらにシリーズ初出演となった当時は若手の大塚寧々や加藤晴彦らがキャスティングされている。スペシャル版になってから、貫太郎が少しおとなしくなってしまったように感じたが、本作においては豪快な「ちゃぶ台返し」をするなど、元気なところを見せている。

ストーリーを紹介すると、寺内貫太郎(小林亜星)のところへ、大工の棟梁・金田(梅津栄)が駆け込んでくる。寺内家の長女・静江(大塚寧々)の縁談がダメになったらしい。「娘に恥をかかせやがった」と、貫太郎は怒り狂うが、妻の里子(加藤治子)とお手伝いのミヨ子(浅田美代子)が間に入って場を収めた。その日の夕食時、縁談が破談になった旨を里子が静江に告げるが、静江は意外にあっさりしている。だが、周平(西城秀樹)が「破談になったのは家が石屋だからだ」と言い出したために、貫太郎と周平がたちまち大ゲンカを始めて家中が滅茶苦茶に...。やがて嵐が収まった頃、周平は「家を出る!」と言い残し、本当に家出してしまう...。

周平は本作では歯科医になっていて、ほかにも一人暮らしを始めた周平が家族と連絡するのにeメールを使う場面など、時代の変化を感じさせる描写もチラホラ。それでも、昭和の頃のキャストが再集結したこともあり、「寺内貫太郎」の世界観はしっかり再現されている。西城は貫太郎との大げんかのシーンなどを元気に演じ、ファンを喜ばせた。

西城は2018年5月にこの世を去り、同年9月に樹木希林も他界している。2021年5月には小林亜星も亡くなった。本作の主要キャストが相次いで鬼籍に入ってしまったのは残念だが、作品の中で元気いっぱいに暴れている彼らの姿に出会えることがありがたいと思える。この機会に、小林亜星や樹木希林、西城秀樹の演技に見入りながら、あの頃の空気を再び感じてみたい。

文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)

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放送情報

寺内貫太郎一家2000
放送日時:2021年11月23日(火)23:00~
チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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