三浦春馬が日中合作映画で発揮した、持ち前のストイックさと役作りへのこだわり

日本はもとより、アジアでも高い人気を誇る俳優・三浦春馬。若い頃から海外志向が強かった彼は、持ち前のストイックさも相まって、日々語学の練習に熱心に取り組んできたことが伝えられている。そんな彼が見事な中国語を披露している映画が、日中合作映画『真夜中の五分前』だ。

海外の映画人とのコラボレーションも多い行定勲監督が、日本、中国、台湾のスターたちを迎えて作り出した本作。三浦にとっては自身初となる海外撮影に挑んだ作品となった。中国での公開時には、日本人監督としては異例となるおよそ4000スクリーン規模での劇場公開を果たした。そして日本でも、映画上映後の舞台あいさつでは珍しいスタンディングオベーションがわき起こるなど、好意的に受け入れられた。

物語の舞台は中国・上海。三浦演じる時計修理工のリョウは、ひょんなことからルオランという美しい女性と出会うが、彼女には女優をしているルーメイという一卵性双生児の妹がいた。ルオランは自分の人生の片割れでもあるルーメイを深く愛しているのだが、それと同時にルーメイに対する激しい嫉妬を抱えている。そんなルオランをリョウは優しく受け止め、ついには恋人となるが、その矢先、ルオランは、ルーメイと出掛けた旅行先のモーリシャスで事故にあい、命を失ってしまう。やがてルーメイは、日常の暮らしに戻っていくが、彼女の婚約者のティエルンは次第に違和感を覚えるようになる。目の前にいるのはルオランなのではないかと――。

「真夜中の五分前」に出演する三浦春馬
「真夜中の五分前」に出演する三浦春馬

(C)2014 "Five Minutes to Tomorrow" Film Partners

日本から上海にやってきたというリョウを演じるにあたり、撮影の3ヶ月前から中国語の練習をはじめたという三浦。語学を覚えるという意味では決して余裕のあるスケジュールではないが、ミュージカルスターとしても活躍するほどの持ち前の音感の良さなどもあり、中国語の発音はメキメキと上達。さらには撮影1週間前には、中国演劇界の名門・上海戯劇学院の講師から直接レッスンを受けたということもあり、その役どころをしっかりとブラッシュアップさせていった。持ち前のストイックさで熱心に中国語に取り組み、撮影中も練習を欠かさなかったという三浦だったが、実際に始まると中国スタッフから「中国語がうますぎる」と指摘が。リョウは上海に来て1年半ほどという設定であるため、わざとたどたどしい感じに軌道修正しなくてはならなかった、というのは今となっては笑い話であろう。

本作の大部分を上海で撮影するということから、現場には日中混合スタッフが参加。そのため意思疎通がスムーズにいかないこともあったというが、それでも三浦は「中国のスタッフには本当によくしてもらった」と感謝の気持ちを抱いていたという。一方の行定監督は、三浦に最初に会ったときから、一緒に情熱を燃やすことができる存在として見ていたという。そして実際の撮影現場でもその見立て通り、異国の撮影にぶれることなく、持ち前のストイックさで、一緒に映画を作ることに献身的だった。映画全体のトーンは静かでゆったりとしたものがあるが、その奥底には、そんな彼らの熱量をしっかりと感じられる作品となっている。

文=壬生智裕

この記事の全ての画像を見る

放送情報

真夜中の五分前
放送日時:2021年12月23日(木)21:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物