岡田准一の圧倒的な存在感!時代劇『散り椿』で魅せたいぶし銀の魅力

2021年公開の映画『燃えよ剣』で新選組の土方歳三を演じた岡田准一は、スタントなしで目にも留まらないスピードの剣戟アクションを披露。映画は公開第1週で興行収入初登場1位を獲得した。現在41歳で、既に『天地明察』(2012年)、『関ヶ原』(2017年)などの主演作があり、大河ドラマ『軍師官兵衛』(2014年)にも主演。『関ヶ原』『燃えよ剣』の原田眞人を始め、スケールの大きい歴史劇を撮る映画監督からの信頼も厚く、この世代の俳優では時代劇への貢献が突出している。時代劇市場が縮小していく中、彼は最後の時代劇スターとなるのだろうか。

そんな岡田が2018年に映像美で知られる名カメラマン・木村大作監督と組んだのが映画『散り椿』。直木賞作家・葉室麟の小説を岡田や西島秀俊、黒木華、池松壮亮らの豪華キャストで映画化。第42回モントリオール世界映画祭で最高賞に次ぐ審査員特別グランプリを受賞した。

岡田が演じる新兵衛は、かつて藩政上層部の不正を訴え出たが認められず、追放されるようにして故郷を去った。しかし、連れて行った最愛の妻・篠(麻生久美子)が亡くなり、その遺言に従って藩に戻る。そして、剣術道場での良きライバルだった采女(西島秀俊)に再会。2人の間には篠をめぐってわだかまりがあったが、采女が利権をむさぼる家老の玄蕃(奥田瑛二)に刃向かい、逆に追いつめられてしまうと、新兵衛は采女のところに駆けつける。

『散り椿』に出演する岡田准一と麻生久美子
『散り椿』に出演する岡田准一と麻生久美子

(C)2018「散り椿」製作委員会

西島秀俊と黒木華
西島秀俊と黒木華

(C)2018「散り椿」製作委員会

原作の葉室麟は、藤沢周平の世界にも通じる弱者や敗者の物語をよく描いた。藤沢の小説を映画化したヒット作『たそがれ清兵衛』『武士の一分』がそうであるように、現代に生きる我々が共感できるのは、戦に明け暮れた武将や由緒正しい名家に生まれた上級武士より、実直かつ誠実に生き、愛する家族との小さな幸せを守ろうとした名もなきサムライなのだ。

新兵衛はまさにそのヒーロー像に当てはまる男。故郷や友人を失っても信念を曲げず、しかし、自分の正しさを主張することもなく、ただひたすらストイックに剣の腕を磨く。その清廉な生き方から篠の妹・里美(黒木華)や弟・藤吾(池松壮亮)に慕われ、特に里美とは男女として惹かれ合うが、新兵衛は多くを望まない。岡田はそんな男の潔さをリアルに演じている。『燃えよ剣』など、野心的でギラギラした男の役もよく演じているが、ここでは高倉健のような不器用モード。いぶし銀の魅力を発揮しており、本作で役の幅を広げ、今後ますます時代劇で重宝される俳優となりそうだ。

文=小田慶子

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放送情報

散り椿
放送日時:2022年1月1日(土)13:00~、2022年1月5日(水)0:00~ほか
チャンネル:WOWOWプライム
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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