岡田准一が戦後の世界で人情深い石油会社の社長を演じた映画「海賊とよばれた男」

岡田准一が石油事業に尽力し、戦前から戦後を全力で生き抜いたカリスマ社長・国岡鐵造(出光興産創業者の出光佐三氏がモデルとされている)を演じたのが『海賊とよばれた男』だ。原作は400万部を突破した百田尚樹の同名小説で、監督は『永遠の0』で岡田とタッグを組んだ山崎貴。「もうすぐ石油の時代が来る」と野望に燃えていた20代から90代までの熱き男の一生を岡田がエネルギッシュに演じきっている。鐵造が海賊とよばれたのは、国岡商店の店主として北九州の門司の海で商売をしていた時代。社歌を店員たちと大声で歌い、フラッグを立てた小舟で油を売り、その荒っぽいやり方に地元の同業者に海賊と言われても「海の上に線でも引いとんのか?」と怒鳴っていた青年期は鐵造のルーツであり、激動の時代に数々の困難を乗り越える原動力となっている。会社が危機に見舞われても解雇せず、「仕事は作るもの」、「店員は家族」という信念を貫いた生き方。岡田の堂々たる演技に惹きつけられる。

©2016「海賊とよばれた男」製作委員会 ©百田尚樹/講談社

■石油の仕事が枯渇した戦後を柔軟な姿勢で乗りきる

国岡商店の経営は波乱万丈であった。戦争が終わったばかりの混乱期は石油の仕事で食べていける時代ではなかったため、元海軍大佐・藤本(ピエール瀧)にラジオの修理の仕事を依頼されて、引き受けることにするが、銀行から融資をとりつけられず、インフレのせいにする藤本を「違う!熱が足りんのよ!」と一喝。戦地から帰還する店員たちのためにも多角経営で会社を回していく。敵視されている石油会社の副社長(國村隼)から誰もやらないような危険な仕事を押しつけられても店主のために戦地よりマシだと団結し、ドロドロになって社歌をうたいながらバケツリレー方式で石油を汲み上げていく店員たちの姿を見て、鐵造はなりふりかまわず仕事を手伝おうとする。その行動力と熱意と型にハマらない発想力で国岡商店を発展させ、石油メジャーから生意気だと目をつけられ、潰されそうになっても鐵造は不屈の精神であきらめない。石油輸入ルートを封鎖されていよいよ終わりかという時に脳裏に浮かんだのは勢いで突っ走っていた若き日の自分の姿。海賊とよばれていたあの時のように保有する巨大タンカー「日承丸」で世界の海で勝負を賭けるのだ。気性は荒いが、人情家でリーダーにふさわしい器を持った男の熱い生き様。年老いてからの鐵造を演じる岡田の佇まいや台詞に注目したい。

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放送情報

海賊とよばれた男
放送日時:2022年9月13日(火)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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