瀬戸康史が一人二役の記者を演じ抜いた舞台を語る「今、僕らが演じる意味を感じました」

瀬戸康史さんが主人公を務める舞台「彼女を笑う人がいても」が、3月に衛星劇場で放送される。栗山民也さんが演出、気鋭の劇作家・瀬戸山美咲さんが作劇を手掛ける。2021年の現代と安保闘争が起こった1960年を舞台に、正義と真実を問う物語で、闘争で亡くなった樺(かんば)美智子さんが作品のモデルになっている。

舞台『彼女を笑う人がいても』
舞台『彼女を笑う人がいても』に出演する近藤公園、木下晴香、瀬戸康史、渡邊圭祐

「舞台『彼女を笑う人がいても』」撮影:マチェイ・クーチャ

「安保闘争に関しては詳しく知らなかったので、勉強が必要でした。樺さんの本などを読んで、本当にこんなことがあったんだと驚きました。こんな考え方があるんだと怖く思ったり、貫き通す姿勢に憧れを感じたり、複雑な感情になりました」

作品上では樺さんの名前は出てこず、ただ"彼女"と呼ばれる。

「それによって、見る方それぞれの"彼女"像が出来上がる作品だと思います」
 
瀬戸さんが演じるのは、五輪開催を目前に異動が決まり東日本大震災被災者の取材を打ち切られる新聞記者の中村伊知哉と、その祖父で安保闘争を取材していた吾郎の二役。そのため、舞台から一度もハケることなく、1時間45分を演じ抜くことに。

「毎回終わるたびにヘトヘトでした(笑)。伊知哉と吾郎は違う人物ですが信念は似ていて、心の中の炎の燃やし方が違うという認識で、きっちり演じ分けることは考えませんでした。演技に振り幅を持たせることで、結果的に二役に見えればいいなと。また吾郎も伊知哉も損得で動く人間ではないので、新聞記者っぽさを意識するよりも、知りたいという好奇心だけを持って演じたいと思いました」
 
その結果、かき消されてしまう人々の"声"への思いが募り、孫と祖父の思いは60年の時を経て、リンクしていく。

「最初に安保闘争を題材にすると聞いた時は難しさを感じ、どんな作品になるんだろうと思っていたのですが、瀬戸山さんが伝えたいことはシンプルですし、舞台を見てくださった若い世代の方にも思いが伝わっていたので、今、僕らが演じる意味を感じました。テレビでご覧になる皆さまには、我々の熱量が伝わればいいなと思います。それから、1対1の芝居が多いので話している人物だけでなく、聞いている相手にも注目していただきたいです。その表情も重要だったりするので。中でも(吾郎と対立する上司役の)大鷹明良さんの表情は、見ているだけで本当にムカつきますよ(笑)」

せと・こうじ●1988年5月18日生まれ、福岡県出身。ドラマ&映画に加え、舞台で活躍。現在公演中の「マーキュリー・ファー」初演に出演(2015年)。「グレーテルのかまど」(E テレほか)は11周年目を迎えた。城定秀夫監督の主演映画『愛なのに』が2月25日(金)から公開のほか、待機作が多数控えている。

撮影=石塚雅人 取材・文=及川静 ヘアメーク=YOSHi.T(AVGVST) スタイリスト=田村和之 衣装協力=エトセンス、パラブーツ

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放送情報

舞台「彼女を笑う人がいても」

放送日時:2022年3月13日(日) 19:00~

チャンネル:衛星劇場

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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