コラムニスト・吉田潮桜井ユキ主演ドラマ「だから私は推しました」の魅力を語る

国内ドラマを1本厳選してオススメ。今月は、アイドルのオタク沼にハマったOLがヒロインのドラマ「だから私は推しました」。"地下アイドル"というディープな世界とともに、ヒロインの転落と成長を描く異色作です。

■世知辛いアイドル事情待遇改善や問題提起も

小さなライブハウスを拠点に活動するアイドルと、その熱狂的なファンを描いた問題作。何が問題って、アイドルがライブハウスの運営側に搾取され、独占欲の強いファンから危険な目に遭わされる、過酷な日常を描くから。正直ぞっとした。それでも、ヒロインがうっかりドルオタとなり、自分の人生に光を見いだす姿には心をつかまれた。
 
保険会社勤務の遠藤愛(桜井ユキ)は、「いいね!」欲しさに彼氏との写真をSNSに載せまくる痛いOLだった。彼氏にフラれ、やけ酒してスマホを落とす。拾ったのは"ドルオタ"の小豆沢(細田善彦)。指定されたライブハウスへ取りに行くと、ステージには5人組のアイドルが。その中で歌も踊りも下手で痛々しいが懸命な子がひと
り。それが栗本ハナ(白石聖)だ。ハナに自己投影した愛は、ドルオタとして次第にのめり込んでいく。

ドルオタの仲間(村杉蝉之介ら)とも交流し、愛は価値観が一変。同僚(篠原真衣)から辛辣にディスられるも、好きなことを好きと言える心地よさを知った愛は、欲望に素直になる。

ドラマ「だから私は推しました」の登場人物たちのイラスト
ドラマ「だから私は推しました」の登場人物たちのイラスト

そして給料をつぎ込むようになり、下着姿のチャットで稼ぎ、生活が苦しいハナに現金を渡したりもする。身の丈が分からなくなるほど常軌を逸した応援をする愛。さらに、異常に独占的な太客の瓜田(笠原秀幸)からハナを守るために奔走。
 
全ての経緯は愛の口から語られる。刑事(澤部佑)の取り調べ中に、滔々(とうとうとドルオタの矜持(きょうじ)を語る構図なのだ。タイトルの別の意味が分かるのは第7話。ちょいサスペンス調、でもある。
 
人目や評価を気にして、欲望に不自由だった女が解放される物語。森下佳子の脚本が光る。

よしだ・うしお●1972年生まれ。ドラマ好きのコラムニスト兼イラストレーター。週刊誌や新聞でテレビ・ドラマ評を執筆。時々テレビにコメンテーターとして出演。著書「くさらないイケメン図鑑」など著書多数。ネコ2匹と同居中。

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放送情報

だから私は推しました
放送日時:2022年5月12日(木)5:10~
チャンネル:ファミリー劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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