松坂桃李が立場と正義の狭間で葛藤するエリート官僚に!抑え目ながらも表情から苦悩の深さが伝わる!

広瀬すずとW主演を務めた映画『流浪の月』が5月13日に公開される松坂桃李。松坂が数々の韓国ドラマに出演しているシム・ウンギョンと共演し、2019年に大ヒットを記録、第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞など主要3部門(松坂は最優秀主演男優賞を受賞)に輝いたのが映画『新聞記者』だ。

『新聞記者』で主演を務めたシム・ウンギョン、松坂桃李
『新聞記者』で主演を務めたシム・ウンギョン、松坂桃李

原案は東京新聞社会部の望月衣塑子記者による同名ノンフィクション作で、監督は『デイアンドナイト』、『余命10年』などの藤井道人。淡々とした描写の中、"ありえるかも"と思わせる国家権力の闇を描いた本格サスペンス映画に仕上がっている。松坂が演じているのは外務省から内閣情報調査室に出向している若手官僚、杉原。事件の真相に迫っていく東都新聞社会部の若手女性記者、吉岡をシムが演じている。圧力に屈することなく孤独に取材を続ける吉岡とエリート官僚という立場と正義の狭間で葛藤する杉原。抑えた演技が秀逸な松坂桃李が本作で見せる表情に、追い詰められた男の心理が垣間見える。

■重圧の中、苦悩する松坂の演技に注目

記者クラブで異端児扱いされている吉岡のもとに、羊の絵と極秘情報が記されたFAXが届いたことから事件は展開していく。政府関係者しか知り得ない内容に吉岡は真実を明らかにするべく、編集長から入り込むなと注意されてもリサーチを続ける。そんな中、関係者である内閣府の神崎(高橋和也)が自ら生命を絶ってしまう。杉原が尊敬している元上司だったことから、葬儀に記者として参列していた吉岡と杉原は出会い、神崎という共通項で2人は繋がっていく。もともと組織のやり方に疑問を抱いていた杉原の動きを不穏に感じている上司(田中哲司)から「オマエ、子供が生まれるそうじゃないか」とやんわり脅され、恩師の無念を晴らしたいという想いと、自身の立場との間で揺れる杉原。立場上、感情をあからさまに表に出すことはないが、松坂桃李が見せる鬱々とした表情から苦悩の深さが伝わってくる。

■衝撃のラストシーンも公開当時、話題に

妻(本田翼)の出産にも立ち会うことができず、初めて我が子を抱いた時に感動の笑顔ではなく、涙を流す杉原。SNS時代の現代社会の歪みも描かれ、吉岡と共に闇の真相へと近づいていく先に待っていたものとは?

物語が後半に進むにつれて、松坂の演技は緊迫していき、横断歩道を挟んで向かい合う杉原と吉岡のラストシーンは視聴者に衝撃を与えた。結末までは描かれていないが、最後に杉原が遠くから呟いた言葉は唇の動きから想像するしかなく、それだけにズシンとくる。視聴者にその後の解釈を委ねるエンディングを含めてじっくり見たい作品だ。

文=山本弘子

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放送情報

新聞記者
放送日時:2022年4月30日(土)20:30~ほか
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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