松坂桃李が演じる「最もポンコツなキャラ」が愛おしい!斬新なラブコメ「あのキス」で見せた新境地

「あのときキスしておけば」
「あのときキスしておけば」

2009年のデビュー以来、作品ごとに全く異なるキャラクターに挑み続け、独自のキャリアを築いてきた松坂桃李。30歳となった2018年、まさに体当たりで挑んだ『娼年』の"娼夫"役や、暴力団の抗争と対峙する刑事に扮した『孤狼の血』シリーズ(2018年・2021年)など、30代を迎えた近年は特に難役を担うイメージが強い。

広瀬すずと共に主演を務める最新映画『流浪の月』でも、女児誘拐という烙印を背負って生きる孤独な青年を演じており、その渾身の演技が注目を集めている。そんなシリアスな役柄とは一転、昨年放送されたドラマ「あのときキスしておけば」(2021年)でキャリア史上"最もポンコツなキャラ"という新たな一面を披露し、一風変わった恋の三角関係を盛り立てた。

松坂桃李らが奇妙な三角関係を繰り広げたドラマ「あのときキスしておけば」
松坂桃李らが奇妙な三角関係を繰り広げたドラマ「あのときキスしておけば」

(C)テレビ朝日・MMJ

本作は、恋愛ドラマの名手・大石静が描く"入れ替わり"ラブコメディ。壊滅的にポンコツで夢も覇気もなく生きていたスーパーで働く桃地(モモチ)のぞむは、漫画を読むことが唯一の趣味。ある日、大好きな漫画の作者・蟹釜ジョーこと唯月巴と出会い、友だち以上恋人未満の関係になる。しかし、その矢先に彼女は事故で帰らぬ人に...。悲しみに暮れるモモチの前に見知らぬ中年男性が現れ、「自分が巴だ」と告げられる。

主人公・モモチの"最愛の女性"の魂が見知らぬおじさんの中に入ってしまったことで、奇妙な三角関係が繰り広げられていく本作。蟹釜ジョーというペンネームで執筆活動する巴を演じたのは麻生久美子。自然体の色気や可愛らしさと儚さが同居する麻生が、セレブな暮らしを送りながらもどこか秘めた一面も持つヒロインを魅力的に演じている。

「あのときキスしておけば」
「あのときキスしておけば」

(C)テレビ朝日・MMJ

巴の魂が乗り移ってしまう中年男性・マサオ役には、名優・井浦新が起用された。松坂と同じく、映画やドラマで多彩な役柄を演じてきた実力派だが、今作では初の"ヒロイン"役で振り切ったラブコメ演技に挑戦。麻生のワガママでキュートなコメディエンヌぶりはもちろん、色気のある大人の男という印象の井浦が、新たな境地を切り開いたキュートな姿は見ものだ。

「あのときキスしておけば」
「あのときキスしておけば」

(C)テレビ朝日・MMJ

そして、麻生と井浦が演じるヒロインに振り回される主人公・モモチを嬉々として演じているのが松坂だ。何かと残念な32歳独身男性で、出世願望も恋愛願望も特になく職場でも失敗を繰り返す。運命的に出会った巴のために掃除・洗濯・料理となんでもするが、自分の意見も言えないうえに、困っている人を助けることもできず、全く頼りにならない。それでも、どこまでも優しくて、ひたすらいいヤツ...そんな愛すべきダメ男を松坂が体現した。

「あのときキスしておけば」
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(C)テレビ朝日・MMJ

「あのときキスしておけば」
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(C)テレビ朝日・MMJ

通称"オジ巴"こと巴の魂が入ったマサオに対しても、戸惑いながらも拒否することはできず、徐々に順応していくモモチ。慰めようと頭を撫でたりおぶったり、不器用だけれど必死な優しさが可愛らしく、その一方で、パニックに陥ったり嫉妬したり盛大に泣いたりと、感情を豊かに表現する。本当に乗り移っているのでは?と思うほどチャーミングなオジ巴もさることながら、変に格好つけないモモチの素直さもポンコツすぎて愛おしい。大好きな巴と幸せになってほしいといつのまにか応援してしまう。

「あのときキスしておけば」
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(C)テレビ朝日・MMJ

前代未聞のユニークな設定ゆえにコミカルなストーリーが描かれるが、脚本・大石静となれば、当然ただのラブコメでは終わらない。徐々に明かされるマサオの正体。なぜ巴はおじさんの姿で帰ってきたのか。この恋の結末はどうなるのか。予想外の方向へ展開する物語は、回を重ねるごとに少しずつ切なさを増していく。松坂らキャスト陣が全力で演じた物語を見届ければ、温かい喪失感に包まれるはずだ。

文=中川菜都美

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放送情報

あのときキスしておけば
放送日時:2022年7月15日(金)21:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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