ベルベット素材の泥棒スーツに華麗なるベネチアンマスク。セクシーな衣装に身を包んだ深田恭子がバトルアクションをこなし、スパイダーマンのように開脚ポーズを決める。30代後半でナイスバディを維持し「ルパンの娘」のコスチュームプレイをやりきった深田は、ドラマ放送時、人気を集め、同性のファンからも「さすが深キョン」と拍手喝采された。
泥棒一家の活躍をエンターテインメント性たっぷりに描き、まるでアニメのような、または子ども向けの戦隊ヒーローもののような、そして、ミュージカル舞台のようでもある独特の世界を築いた「ルパンの娘」。連続ドラマ2シーズンを経て2021年に公開された『劇場版 ルパンの娘』がWOWOWで放送される。
横関大の同名小説を原作に、ドラマ版では泥棒一家"L(エル)の一族"の娘・三雲華(深田恭子)と警察一家の息子・桜庭和馬(瀬戸康史)の許されない恋を展開してきた。華の父・尊(渡部篤郎)と母・悦子(小沢真珠)、兄・渉(栗原類)、祖母・マツ(どんぐり/竹原芳子)らが泥棒稼業を続ける中、そのミッションに参加しつつも足を洗って普通の女性になりたいと願っていた華は和馬と結ばれ、シーズン2では2人の間に娘の杏(小畑奈々)が誕生。さらに、Lの一族の正体を暴こうとする名探偵一家の娘・北条美雲(橋本環奈)が登場した。
劇場版では、60代になった尊と悦子が泥棒引退を宣言。これまで迷惑をかけたお詫びだと、華と和馬にちょっと遅めの新婚旅行をプレゼントする。そこで華たち親子3人は美しい城壁の街・ディーベンブルク王国を訪れるが、そこに尊たちが現われ、最後に王国の王冠を盗むという大仕事をするつもりだと打ち明ける。あきれる華だが、のっぴきならない状況になってしまい、父、母、祖母と共に王冠が眠る難航不落の城に忍び込むと、一族の前に謎の敵"JOKER"が立ちはだかる――。
監督の竹内英樹は、『翔んで埼玉』などのヒットメーカー。もともとはフジテレビのドラマ・ディレクターであり、深田恭子の出世作「神様、もう少しだけ」(98年フジテレビ系)では当時15歳だった深田に厳しい演技指導をしたという。それから23年、本作ではパロディや小ネタ満載のコミカルストーリーを展開しつつ「クライマックスの深田さんの演技は素晴らしく、現場でモニターを見ながら涙がぽろぽろ出ちゃいました」と語っている(映画公式サイトより)。これまで父と母、兄や祖父母に囲まれ賑やかな家庭で生きてきた華の出生の秘密が明らかになり、兄の渉が発明したタイムマシーンまで出てきて、華は究極の選択を迫られることに。そして、"JOKER"に対峙する華の毅然とした表情と「私は運命を受け入れて生きていく」という涙ながらの決意のセリフは圧巻で、見る者を引き込む。このシリーズが単なるコメディで終わらないのは、深田が長いキャリアで磨いてきた演技力あってこそ。劇場版でも、笑いと涙の激しいギャップを楽しみたい。
文=小田慶子
放送情報
劇場版 ルパンの娘
放送日時:2022年8月6日(土)13:00~
チャンネル:WOWOWプライム
放送日時:2022年8月6日(土)20:00~
チャンネル:WOWOWシネマ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
詳しくはこちら