高畑充希志尊淳のデュオで"胸キュン"に溺れる

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完全オリジナルストーリーということで、30歳独身女性を主人公に「ある日突然社長に大抜擢される」という"ドラマチック"なオープニングでスタートするのだが、「仕事に対する向上心が失せて、ただこなすことに満足している現状」や「仕事に忙殺されて恋を忘れてしまっている」など、働くアラサー女性をリアルに描写しており、ターゲットとなるF1、F2層の視聴者にとって感情移入しやすいものとなっている。その中でも、ターゲットとなる視聴者を最も虜にするのが恋愛要素だろう。

物語が進むにつれ、端正なルックスで人当りもいいのだが何を考えているのか理解できない"宇宙人"のような不思議な魅力を持つカリスマ社長・浅海と、優秀過ぎるが故に生意気な年下のイケメンの部下・大牙との恋愛模様が描かれていくのだが、いわゆる単純な三角関係ではないところがミソ。最初、雛子は浅海にも大牙にも嫌悪感を抱いているというのがポイントで、その「嫌い」がいつしか「気になる」「好き」に変化していくところが面白い。さらに、浅海の雛子に対する気持ちや雛子に敵対心を持っている大牙の心境の変化などが絡み合う展開は、立場や関係性、タイミングなどが大きく影響する"大人の恋"をリアルに描いている。

それを成立させているのは、役者陣の演技に他ならない。というのも、大きなきっかけがあって急に心変わりをするのではなく、小さなきっかけをいくつも積み上げて心境が変わっていく様子を、丁寧に細やかに表現しているからだ。不思議な魅力があって真意を量りづらい浅海を一貫して演じ切っている松田の芝居も素晴らしいのだが、滑らかなグラデーションをつけて心情の変化を表現しているという部分では高畑と志尊の演技に引かれてしまう。

これまで数多くの役を演じ、幅広い役柄をこなしてきた高畑の真骨頂ともいえるシリアスからコミカルまで微に入り細にわたる芝居。そして、これまでのイメージにはない毒舌で生意気過ぎるキャラクターを嫌味なく演じて役者としての新境地を切り開いた志尊の芝居。この両者のデュオは、作品の"欠かせないスパイス"となっている。

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それが最も味わえるのが2人の口げんかの掛け合いだ。相手を罵り合いながらも、どこか痴話げんかのような雰囲気が漂い、いい大人である2人の子供っぽい一面がのぞいて愛らしさを感じる。それは、観る者にふと「こんな感じで言い合える相手がいたら...」と思わせるほどだ。理知的で一見子供っぽい感じを想像できない大牙が見せるギャップに心を掴まれる視聴者も少なくないだろうし、彼のそんな一面を引き出す雛子のキャラクター性も魅力あふれるものとなっている。

30歳女性の仕事に奮闘する姿に、流れゆく日常でつい忘れてしまっている大切なものを思い出しながら、高畑の真骨頂と志尊の新境地による芝居のデュオで"胸キュン"に溺れてみてはいかがだろうか。

文=原田健

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放送情報

ムチャブリ! わたしが社長になるなんて
放送日時:2022年8月28日(日)8:00~
チャンネル:日テレプラス ドラマ・アニメ・音楽ライブ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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