そんな中で、やはり注目すべきはキャスト陣の演技だ。「10年という時を経て、変わっていてほしい部分・変わっていてほしくない部分」といった往年のファンのナイーブな期待に見事に応えている。山田も期待以上の演技を披露し、かつてのキャラクター性を保ちつつも、しっかりと10年後のジョーを表現した。
ジョーといえば冷静沈着でクールな孤高の戦士で、情に厚いというキャラクターなのだが、山田は精悍な顔つきと鋭い目つき、そして話し相手を見ずに会話するという所作で、ジョーらしさを表している。加えて、敵と相対しても余裕がある達人然とした佇まいでジョーの10年間の成長を体現。10年前と比べて、明らかに悠然と立ち、アクションもどこか余裕が感じられる。簡単にいうと敵を前にしてバタついていないのだ。これこそが山田の表すジョーの精神的な成長であり、同時に10年という時間の経過も感じさせる。
山田は演じるにあたり、10年ぶりに同じ役をただ演じるのではなく、役が過ごした時間までもしっかりと役作りに取り入れた。10年間の成長をも表現するというのは、山田がこの10年間で数々の役と真剣に向き合い全力で演じ抜いてきたからに違いない。その演技に対する姿勢こそが「カメレオン俳優」と称される所以となっているのだろう。
10年という時を経て同じ役を演じた山田が表現した役の成長と共に、彼自身の役者としての成長にも注目していただきたい。
文=原田健
放送情報
テン・ゴーカイジャー
放送日時:2022年9月4日(日)11:30~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
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