そして第1章のクライマックスから15年後となる2015年を舞台とした第2章では主人公のケンヂが不在となり、代わりにケンヂの姪っ子であるカンナ(平愛梨)たちが物語を引っ張ることとなる。カンナを演じるのは、応募人数3000人の中から選ばれた平愛梨。この役に選ばれなかったら芸能の仕事を引退しようという覚悟で挑んだという平は、「絶対にカンナ役をやりたい!」という想いから、オーディション前日に長かった髪をバッサリ切って参加。その強い思いを目の当たりにした堤監督と、原作者の浦沢も、彼女の目力の強さに「彼女しかいない!」と納得のキャスティングだったという。そして撮影現場でも、常盤貴子、香川照之といった名優たちからたくさんのアドバイスを受けたという平。その甲斐あって感情表現が豊かで、逆境の中でも力強く立ち上がるカンナというキャラクターを魅力的に演じている。
原作者の浦沢自身、ロックをこよなく愛する愛好家であり、堤監督も数多くのPVや音楽映画を手がけるなど、ロックスピリットをよく理解している監督だ。それゆえ、最終章となる第3章のクライマックスはおよそ1万人のエキストラが集結したライブシーンで大団円となる。唐沢も、GLAYのTAKUROにギターの弾き方をレクチャーしてもらい、ライブの撮影に挑んだという。
だが本作はそこでは終わらない。実はエンドクレジットの後にさらにもうひとつ。10分間のラストシーンが描かれたことが話題となった。原作とは違う、映画ならではの決着をつけたこのラストシーンでは、"ともだち"はどうして"ともだち"になったのか、ということが明かされる(※現行の完全版、電子版(電子書籍)では、この映画版に準拠したエンディングが採用され加筆されている)。そしてその真実を知った時、ケンヂはそれにどう立ち向かったのか。本作の主題歌であるT.REXの「20センチュリー・ボーイ」を効果的に使ったこのシークエンスは深い余韻を残す、映画ならではのクライマックスとなった。
文=壬生智裕
放送情報
20世紀少年 <第1章> 終わりの始まり
放送日時:2022年9月3日(土)16:00~ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
20世紀少年 <第2章> 最後の希望
放送日時:2022年9月3日(土)18:30~ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗
放送日時:2022年9月3日(土)21:00~ほか
チャンネル:WOWOWプラス 映画・ドラマ・スポーツ・音楽
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