アクションではない、千葉真一の役者魂に触れられる映画『太陽に突っ走れ』

2008年に逝去した作曲家・遠藤実は、2009年に国民栄誉賞を受賞。演歌を中心に5000曲以上の楽曲を手がけた昭和歌謡界の巨人である。舟木一夫や千昌夫、森昌子といった昭和歌謡の大物歌手の多くは、遠藤によって世に送り出されたといっても過言ではない。

(C)東映

1932年に東京で生まれ、戦時中に疎開した新潟で育った遠藤は、17歳で上京。様々な職を経て流しの演歌師となった。やがて1952年に作曲家デビューを果たすと、翌年には島倉千代子が歌った「からたち日記」が大ヒット。作曲家としての地位を確たるものにした。1966年には自叙伝「太陽も笑っている」が「太陽に突っ走れ」とタイトルで映画化もされている。

同作は東映が製作し、「カミカゼ野郎 真昼の決斗」の池田雄一が脚色、「地獄の野良犬」の鷹森立一が監督した。遠藤をモデルとする主人公は、映画では新潟から作曲家の夢を抱いて上京する青年・進藤孝で、千葉真一が演じている。劇中、孝は同じく作曲家志望だった演歌師の増田健吉(長門裕之)とのコンビで盛り場を流し歩く。

慣れない都会生活にも戸惑いながらも、懸命に歌う孝たち。そんな彼らを応援してくれたのが、大衆食堂で働く女性・高村光枝(十朱幸代)だった。他にも、孝の運命に関わっていく人物として妹のさかえに大原麗子、実業家・山中に東野英治郎らがキャスティングされている。

遠藤は同作で映画音楽も担当しており、楽曲を提供された舟木一夫、こまどり姉妹、島倉千代子、北原謙二、一節太郎ら有名歌手たちが実名で多数出演しており、リアルな歌謡ドラマとして見応えある作品に仕上がっている。

本作の魅力は、昭和の歌謡曲全盛時代を描いた華やかさに加え、前述したように遠藤の自伝を下敷きにしているため、リアリティ溢れる骨太なストーリーにある。特にレコード会社立ち上げを巡る当時の歌謡界の現実と厳しさが浮かび上がるようで興味深い。青春ドラマとしても面白く、孝を献身的に支える健気な女性・光枝を演じた十朱の好演が印象深い。

この記事の全ての画像を見る

放送情報

太陽に突っ走れ
放送日時:2022年11月5日(土)18:30~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

詳しくはこちら

キャンペーンバナー

関連記事

記事の画像

記事に関するワード

関連人物