12月は注目の"ダービー"がめじろ押しの欧州サッカー。 倉敷保雄アナが見どころをレクチャー!

続いてドイツ ブンデスリーガ。こちらでは12月8日(現地時間)に、シャルケとドルトムントによる"ルールダービー"が行われます。両チームはどんな関係なんでしょうか?

「現地では"レヴィアダービー"という名称で呼ばれています。"レヴィア"とはドイツ語で地域という意味で、ドルトムントと(シャルケのホームタウンの)ゲンゼンキルフェンはたった20kmしか離れていません。共にルール工業地帯にあることから、"ルールダービー"とも言われています。この両チームは互いに極めて近い炭鉱の町というシンパシーを感じていながらも、それがゆえにこの相手だけには負けたくないと思っているダービーです」

ドルトムントは現在(12節終了時点)首位を独走し、チームは好調を維持しています。しかし香川真司選手は出場機会に恵まれず、日本人のファンにとっては気がかりです。

「新しいステージ(他チームへの移籍)を目指す時でしょう。香川選手の立場は厳しいです。チームはマルコ・ロイス(MF/ドイツ代表)を中心に回っていて、とてもスピーディなサッカーをしています。もはやゲームメーカーは決定されたわけですから出場の機会はあまり多くないと思います。本人は明るく前向きに練習に励んでいるそうなので、新しい挑戦を視野にいれているはずです。噂されているスペインなどへ移籍する可能性が高いと思います」

もしそうなる場合でも、冬の移籍市場が開くのは2019年1月からなので"ルールダービー"の時点ではまだチームに残っています。香川選手が試合に出場する可能性はありますか?

「もちろんです。ドルトムントの良さはオプションが多い点で、それゆえに今季は複数のタイトルを狙えます。現状ではロイスを中心に選ばれる選手たちと比べればすこしずつ足りない部分があるかもしれない。しかし逆に彼らとは違うものを持っていることも確かです。香川選手には経験値もある、いくつもの役割もこなせる。例えばロイスにアクシデントがあった場合、香川選手はその代役の一番手ではないかもしれませんが、オプションとして必要とされることは間違いない」

一方、今季のシャルケはリーグ戦では14位(12節終了時点)に低迷しています。その戦いぶりはどう見ていますか?

「2部リーグへの降格もあり得る厳しい状況にあります。ただ、UEFAチャンピオンズリーグではまだ勝ち残っています。ここをフロント陣はどう考えるでしょうか?おそらく今回のダービーマッチは、大きなものを賭ける戦いになるでしょう。昨年、ドルトムントで行われたダービーマッチは、4対4でしたが、前半はホームのドルトムントが4対0と一方的にリードしていて、後半にシャルケが4点取って引き分けたゲームでした。当時ドルトムントの監督はJリーグでもプレーしたピーター・ボスでしたが、ショックからチームを立て直せず2試合後に解任されてしまいました。今回はこの時も監督だったシャルケのテデスコの真価が問われる番です。勝利すれば、この先のUEFAチャンピオンズリーグに弾みがつくでしょうし、逆にひどい負け方や4対0から追いつかれたりしたら、首が飛ぶ可能性もあります」

首位のドルトムントが断然有利なように思えますが、シャルケも絶対に負けられない。まさに見逃せない"ルールダービー"になりますね。

「ドルトムントが勝つと思っている人がほとんどだと思いますが、今回はシャルケがホーム。実は過去5シーズン、シャルケはホームでは2勝2分け1敗で、ここ4シーズンは一度も負けていません。そういう相性もダービーマッチにはあるので面白いですよ。ぜひ注目して観てください」

Profile
倉敷保雄(くらしきやすお) 1961年千葉県生まれ。サッカー中継を中心に活動するフリーアナウンサー。落ち着いたトーンと豊富な知識を生かした実況に定評があり、Jリーグやヨーロッパ各国のリーグ、FIFAワールドカップなど、これまで担当した試合は1,000を超える。現在はスカパー!のイタリア セリエAやドイツ ブンデスリーガなどの実況を担当。

文=河合哲治郎

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