――久保選手について期待していることはありますか?
「一昨年、大宮アルディージャ在籍時にルヴァン杯で対戦したんです。『久保くん、久保くん』って騒がれてて。『そんなん、なんやって、まだ子供やろ?(笑)』って、くらいの感じだったんです。そして、昨シーズン、J3でFC東京U-23と対戦したんです。その時も『正直、このくらいじゃ上にいったら厳しいんちゃう? (小野)伸二のほうがすごかったで』って思ってたけど、今シーズンの急激な伸び具合とかを見ると、やっぱりこの年代っていいなって思います。これで国際大会を経験して、欧州に行った時、どんな成長を遂げるのか、いちサッカー人として楽しみですよ。名前とプレーが一致する若い選手ってなかなかいないけど、久保選手はインタビューを聞いていても自信を持っているし、グイグイ上にいこうというのを感じられるからいいですね」
――久保選手以外で注目している選手はいますか?
「西川潤選手のデビュー戦となった、神戸vsC大阪のルヴァン杯を解説したんです。彼は良いですね。男前だし、スター性がある。180cmで左利き、プレーもしっかりしていて、スケールが大きい。久保選手と一緒にプレーすればさらに成長すると思いますね。久保選手はそういうみんなの力を引き上げる選手だと思いますから。僕らの世代の小野のような選手です。結果を残さないとこの世界生き残っていけへんし、全員で上がっていかないといけないから東京五輪とW杯カタール大会に繋がるような良い結果が出せれば、日本サッカーの良いサイクルができると思います」
――グループB(メキシコ、イタリア、エクアドル、日本)の展望と注目選手は?
「イタリアはFWモイーズ・キーン。何よりもユベントスという超一流選手のいる、超一流クラブで試合に出ているし、チャンピオンズリーグにも出ています。日本の守備陣が彼を止めることができるのか、というのは気になります。先日のルヴァン杯で瀬古歩夢選手(C大阪)がウェリントン(神戸)にガシガシいっていたんです。あの年代でそれができるのは重要だと思います。だから、キーンと対戦しても怯まないと思うんで楽しみですよ。僕らの頃よりもCBは粒が揃っているので、ああいった強力なアタッカーと対峙する日本の守備は見応えあると思います」
――日本が勝ち進むためにはどのような戦い方をすれば良いと思いますか?
「日本は個人のストロングがあるチームなのでそこをどんどん出していってほしい。U-20の世代ってどういう戦い方っていうのは難しいんです。全体は監督がまとめてっていうのはあると思いますが、自分たちの個性を出すしかない。僕らの時もトルシエ監督がフラット3など大枠を作って、そのなかで好きなようにやっていました。分析も重要だと思いますが、この世代って最終的に自分たちのイメージを持って戦わないと勝ち上がれない」
――U-20世代の大会ならではの特徴はありますか?
「上のカテゴリーになるほど、駆け引きも多くなりますし、経験値が増える分、選手たちも戦い方に慣れてくる。フル代表はチームが最初にあって、その中で個を活かすことになる。逆にこの世代は、小さいころからやってきた自分のサッカーを見せる意識を強く感じます。個があってのチーム。個を活かしながらチームに組み入れていく大会だと思います。そういった視点で見ると楽しめると思います」
――優勝候補は?
「ポルトガル、イタリアは優勝候補ですよね。短期決戦の大会ですけど急にグッと伸びるチームってあるんですよ。僕らがそうでしたから。この世代は1試合で個人レベルがグッと上がるんです。今大会の日本にはそこも期待したい。そういう希望も込めて日本に優勝してほしいですね」
Profile
播戸竜二(ばんどりゅうじ) 1979年兵庫県生まれ。1998年にガンバ大阪に加入。その後コンサドーレ札幌やヴィッセル神戸などでもプレー。2006年にはガンバ大阪で16得点を挙げる活躍もあり日本代表に初選出される。現在は解説者としても活躍中。
文=HOMINIS編集部
放送情報
FIFA U-20 ワールドカップ ポーランド 2019
放送日時:2019年5月24日(金)0:45~
チャンネル:J SPORTS 1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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